新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1373 新聞業界異常すぎます
投稿者 Tさん 投稿日時 2016. 4. 9 AM 6:44
はじめまして、新聞業界異常すぎます。新聞本社と裏社会のつながりが色々と見えてきます。
裏社会のチンピラ拡張員を利用する新聞店は如何な物か?
他紙のお客様の新聞受けポストに嫌がらせをして自分の客にしてます。他店にも同じ様なことをしてます。
これからますます新聞離れが出て来るか心配です。
回答者 ゲン
『新聞業界異常すぎます』と言われておられるのは、他の業界でそれなりの期間仕事された経験から出た言葉やと思う。
世間一般の常識とは、かけ離れた世界やと。そう感じられても仕方がないことは認める。特に新聞勧誘に携わる人間の中に、それが言える。悪質で程度の悪い人間が存在するのは確かやさかいな。それは否定せん。
『新聞本社と裏社会のつながりが色々と見えてきます』ということやが、新聞の勧誘、拡張員は約70年ほど前に誕生した。
当時の新聞各社は、暴力団組織であるヤクザを中心に新聞拡張団を結成させた背景があるさかい、ある意味、『新聞本社と裏社会のつながり』があるのは無理からぬことやとは思う。
今とは違い、戦後間もない時分の新聞社の経済力は弱わかった。一般の会社、企業なら、営業員は自前の社員を養成するもんやが、それをするには膨大な数の営業員を必要としたため、新聞社にそれができる余裕はなかった。
それで一計を案じ、購読者確保のための営業を業務委託という形で外部に任せることにしたわけや。業務委託するには、まとまった組織でなかったらあかんが、戦後の混乱期に、そんな都合良い会社や企業など、どこにもなかった。
そこで白羽の矢が立ったのが暴力団組織やったというわけや。いつの時代にも「ならず者」と呼ばれている者たちが徒党を組んでいるさかい、その手の組織を探し出すのは比較的簡単やった。
それには、当時の暴力団組織、ヤクザたちに仕事が殆どなかったということが大きい。
業務委託契約を交わせばええと誘うだけで良かったから、仕事の欲しい暴力団組織、ヤクザたちがいくらでも集まった。最盛期には10万人近い新聞拡張団が全国にいたと言われている。それにより新聞の販売部数が飛躍的に伸びた。
終戦後の昭和20年には、新聞の総部数発行は1400万部ほどやった。それが、拡張団の本格的な勧誘の開始により、昭和27年には2200万部に増えた。
更に、昭和40年頃には3000万部、昭和50年過ぎ、4000万部、昭和60年前後、5000万部と順調な伸びを見せた。
この背景の裏には、新聞各社の熾烈な競争があった。その根底に部数至上主義というのがある。どの業界でも、日本一ということを目指していた時代や。新聞社がそうしていたとしても、何の不思議もない。
特に新聞の場合は、そのもの自体の影響力が大きい。業界人にとって、そのトップに君臨することは、天下を取るほどの値打ちがあると考えられていた。そのための競争も尋常やなかったと容易に想像できる。
新聞勧誘は言わずと知れた訪問販売に属する仕事や。その当時の訪問販売には法律の規制は殆どなく、押し売り営業というのが大半を占めていた。
訪問販売イコール押し売り営業というのが、あたりまえの時代やったわけや。今でもそうやと言う意見も聞こえてきそうやが、法律が整備されとる今のそれとは比べものにならん状態やった。
新聞社が、ヤクザを使うという発想も、今やったらとんでもないことやと非難されるやろが、その当時、手っとり早く使えて都合の良い組織、集団やったわけや。
その管理を新聞社がすれば問題はないと踏んだ。そのためかどうかは不明やが、ある新聞社は、元警察官僚を販売部のトップに据えていたという話や。
ヤクザ組織に会社を興させたのは、押し売りは素人にはできんという考えからやが、スタートがそれやから、どうしても、その流れを受け継ぐ拡張団の営業は脅しや強引な営業が主体になりやすい。
ただ、何ぼヤクザでも、脅しや強引なだけでは、そうそう契約は取れるもんやない。そこで登場するのが拡材なわけや。
これは、ヤクザの常套手段やが、アメとムチを巧みに使うという勧誘をするわけや。脅しながら、一方では拡材というアメを使い、徐々に購読客にそれを浸透させる手法を用いたのが、それになる。
せやから、営業と言うても世間一般のそれとは全く異質のものと考えた方がええ。
当時は新聞拡張団の団長が新聞販売店を経営するというのが珍しくはなかった。そのため、新聞販売店にも暴力団紛いの悪質な人間が多かった。
表向き現在の新聞各社は、世間の手前、暴力団など反社会組織と関わっていると発覚した新聞拡張団、新聞販売店とは業務委託契約を打ち切ると公言しているものの、実際には、数十年の長きに渡って培われた「しがらみ」を、そう簡単に断ち切れるものやない。
今以て、新聞社の上層部と暴力団の息のかかった新聞拡張団との癒着が続いているという話も時折、洩れ聞こえてくるさかいな。そういう情報が数多くワシらのもとに届けられている。
その真偽のほどは別にして、そういった噂が業界内部から出ること自体、あんたが言われるように『新聞業界異常すぎます』ということになるのやろうと思う。
『裏社会のチンピラ拡張員を利用する新聞店は如何な物か?』と言われる気持ちは、よく分かるが、今までの説明で、そういうケースがあったとしても不思議やないことは分かって貰えたと思う。
ただ、現在、新聞各社の表向きの姿勢であったとしても暴力団組織を業界から排除するという動きが、ここ10年以上、徹底して行われていることもあり、『裏社会のチンピラ拡張員』自体が激減しているのは事実や。
もっとも、それには新聞業界そのものが暴力団組織にとって、最早それほど美味しい市場やなくなったために「廃団」という形で多くの新聞拡張団が撤退しているということも影響しとるがな。
もちろん、その生き残りも皆無になったわけやないさかい、中には、あんたが言われるようなケースがあるのも事実や。
『他紙のお客様の新聞受けポストに嫌がらせをして自分の客にしてます』というのは「抜き取り」と呼ばれる昔からある手口や。
それに関しての話は、今から10年前の2006年2月10日に発行した旧メルマガ『第79回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■専拡エレジー 前編』 及び『第80回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■専拡エレジー 後編』 にあるので見て頂ければ分かると思う。
『これからますます新聞離れが出て来るか心配です』と新聞業界の行く末を案じ、危惧されるのは無理もないが、その反面、前回の当メルマガ『第409回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞復活への試み……その8 高齢者に特化したサービス、今後の展望』
で話したように、まだ望みが残されているとも言える。
新聞業界が良くなるも悪くなるも、すべては今後の取り組み方次第で決まると思うがな。
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