メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー
第370回 ゲンさんの新聞業界裏話
発行日 2015. 7.10
■元新聞拡張員が引き起こした「闇サイト」事件の死刑執行について
8年前の2007年8月25日、「闇サイト」事件が起きた。
この犯人グループの一人が元新聞拡張員やったということもあり、当時の旧メルマガで『第160回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ネット世界の闇とそれに関わった拡張員』(注1.巻末参考ページ参照)と題して、この事件を取り上げた。
そして、その犯人の一人である元新聞拡張員の男の死刑執行が、6月25日に実施されたという報道があった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150625-00000028-asahi-soci より引用
残虐な犯行、極刑望んだ遺族 「闇サイト」事件死刑執行
インターネットの「闇サイト」で知り合った男らとともに通りがかりの会社員女性を殺害した神田司死刑囚(44)に25日、死刑が執行された。被害者1人の殺人事件だが、残虐な殺害方法などから死刑判決が言い渡され、遺族も極刑を強く望んできた。
「無慈悲で残虐というほかなく、戦慄(せんりつ)を禁じ得ない」。一審・名古屋地裁判決は、神田死刑囚らの犯行をこう表現した。
確定判決によると、神田死刑囚は2007年8月、ネット上の掲示板「闇の職業安定所」で知り合った男2人と強盗を計画。深夜に名古屋市千種区で帰宅途中の会社員磯谷(いそがい)利恵さん(当時31)を車で拉致し、現金やキャッシュカードを奪った。
その後、磯谷さんの頭部をハンマーで多数回殴打し、顔に粘着テープを巻き付け、首をロープで絞めて窒息死させ、岐阜県内の山林に遺体を捨てた。
あれから8年が経過経しているということもあり、事件の概要を覚えておられない、よく知らないという方のために簡単にその経緯を、当時の新聞報道をもとに補足しとく。
2007年8月25日午後1時半ごろ、愛知県警本部に「仲間3人で女性を拉致し、現金を奪った後、殺した。遺体は岐阜県内に埋めた」と、通報があり、事情聴取したところ、供述どおり、同日午後7時10分ごろ、岐阜県瑞浪市稲津町小里の山林から、女性の遺体が見つかった。
県警は、通報した車上生活者の容疑者と仲間のA新聞勧誘員(拡張員)、無職の男を死体遺棄容疑で逮捕した。
千種署に特別捜査本部を設置し、強盗殺人容疑での追及も始めた。
調べによると、男らは25日午前0時ごろ、名古同区内の路上を歩いていた女性を車に無理やり乗せ、現金7万円を強奪した。
顔を見られたため、愛知県愛西市内の駐車場で殺害した。面識はないという。女性は口に粘着テープを巻かれ、鈍器(ハンマー)のようなもので殴られた跡があった。
通報した容疑者の一人は「仲間とは闇のサイトで知り合った。死刑になりたくなかったので自首した」と話しているという。
というものや。
ちなみに、『死刑になりたくなかったので自首した』という主犯格とされている容疑者は「自首扱い」となり無期懲役が確定している。
もう一人、当時32歳の無職の容疑者も、この件に関しては無期懲役が確定しているが、1998年に愛知県碧南市で夫婦が殺害され現金を奪われた強盗殺人事件の主犯として再逮捕された。
さらに、2006年に名古屋市守山区で老女が首を絞められて現金を奪われた強盗殺人未遂事件にも関与したとして、2013年1月16日に再逮捕されている。
これについてのコメントは、特にない。
敢えて言うなら、全員死刑でええのやないかというくらいや。いずれの男たちも生きる資格などない外道やと言うしかない、まさに極悪人と言うしかない連中やさかいな。
メルマガ『第160回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ネット世界の闇とそれに関わった拡張員』(注1.巻末参考ページ参照)のラストあたりで、
今回の事件とも多少関わり合いがあるかも知れんが、本日、8月31日、ハカセはある人と会う約束をしとる。
その結果次第では、業界に旋風が吹くとまでは言わんが、波風くらいは立つことになるかも知れんという気はする。
それが、ええかどうかは今のところ良う分からんが、少なくともハカセは、それなりの腹を決めとるのだけは確かや。
抽象的な表現で気を揉ませて申し訳ないが、その顛末もいずれ近いうちにこのメルマガ誌上で話すことになると思うから、それまで待ってほしい。
間違うても、他で先に洩らすようなことはせんさかい。
と、思わせぶりなことを言うて、そのままになっていた。
それにはそれなりの事情があって、その後の顛末について触れることができんかったわけやが、当時、楽しみにされていた読者の方々には大変申し訳ないことをしたと思っている。
遅きに逸した感は否めんが当時は話せんかった事情について、今であれば話せることもあるさかい、その一部だけでもお知らせする。
その日、2007年8月31日、ハカセは、ある大手週刊雑誌の記者さんから三重県津市内のホテルのロビーで取材依頼を受けていた。
取材依頼そのものは、その2週間ほど前からあり、その日に決まっていた。
例の事件は偶然にも、その数日前に発覚したということもあり、その時は世間話の一つという程度の話しかしていなかった。
その時、新聞業界の闇の部分について業界関係者に会いたいという記者さんからの要望もあり、希望者があった場合、連絡すると言って、その場はそれで終わった。
その後、ハカセは幾人かの業界関係者とコンタクトを取り、その中から、当時、懇意にして頂いていた東海のある新聞拡張団の方の快諾を得て、両者を引き合わせる手はずを整えるつもりやったが、結局実現せんかった。
ほぼ同時期に双方から断りの連絡が入ったからや。
一言で言えば、大手週刊雑誌側と東海の新聞拡張団の方の都合が合わんかったということになるが、この時、ハカセは双方の事情を正確には呑み込めていなかった。
大手週刊雑誌の記者さんからは、「他誌が先に新聞社の経営体質について問題点を指摘する記事」を発表したため、後追い記事になる懸念が高まったことで企画そのものが頓挫したという連絡が入った。
一方、一旦は事件に関係していた元A新聞の拡張員Kの情報について話して貰えることになっていた東海のある新聞拡張団の方から、直前になって「やはり団の名前を出すことになるのは、まずいので今回の話は見送らせて欲しい」と言って来られた。
事件に関係していた元A新聞の拡張員Kの情報については、同じメルマガの中で、
救いになるような話やないかも知れんが、この容疑者のKは、報道では、その所属の拡張団にはあまり出勤することもなく休みがちやったらしい。
金ほしさの犯行ということやが、拡張員やのうても働かな稼げんのは当たり前や。
こんな性根の人間は、どんな仕事に就いていようが、こういう事件を引き起こしていた可能性があるのやないかと思う。
しかし、現実に拡張員が関わった事件が起きたわけやから、こういうメルマガ、サイトを運営しとるワシらが、そのことから目をそらしたり逃げたりしたらあかんのは確かや。
ワシら自身、何事もええことばかりやなく、その悪いところも明らかにせな、何の進歩も教訓にもならんと考えとるさかいな。
それにしても、このメルマガ、サイトの読者にも拡張員の方は多いが、今回の事件については一様に「驚いた」「あり得んことや」と口を揃えておられたのが印象的やった。
テレビ報道の中で、この事件を引き起こしたKの所属していた拡張団の関係者が「こんな事件を起こして平然と話をしていたことに驚く」と言っていたが、それが正直な気持ちやったと思う。
今更やけど、拡張団というても何も特別な人間の集まりやない。他の一般の会社組織と大差ないのが普通や。そう思うてない人は多いようやがな。
相手は誰でもよく、金がほしいから殺して奪えという発想は、どう考えても異常と言うしかない。しかも、報道によると、それを最初から考えとったという。
と言うてたが、東海のある新聞拡張団の方から、より突っ込んだ話が聞けるはずやった。
いずれにしても、ダメなものは仕方ない。それぞれの方々には、それぞれの事情について説明することなく、その時は、それで終わった。
当然やが、本決まりになるまで双方の情報をハカセが明かすことはない。
話が決まった時に初めて、お互いの連絡先となるメールアドレスと依頼の概要を双方に伝えるだけや。
後は、当事者同士で連絡を取り合って貰って話を進めて頂き、その結果、こちらに話して頂ける情報だけを受け取ることにしている。
紹介しっ放しと言えば、そうなるかも知れが、ヘタに世話を焼いて関わり過ぎると、とんでもないしっぺ返しを食らうことにもなりかねんから、ある意味、致し方ない対応やと思う。
実際、過去に紹介した人たちの思惑が違い「ハカセの話と違う」とクレームをつけられ大揉めに揉めて難儀したことがあったから、よけいや。
『事件に関係していた元A新聞の拡張員Kの情報』が分かるかも知れないと大手週刊雑誌の記者さんに知らせていれば、あるいは別の展開があったかも知れんが確実な話しかするつもりはないので、それはしていないと言う。
それには、その当時、補足情報として「傷害未遂事件」の被害者でもあった関東方面のある元新聞販売店従業員の方も紹介していたのやが、その方とも大手週刊雑誌の記者さんが連絡を取るのを怠っていたと聞いていたというのもあったからや。
その後、大手週刊雑誌の記者さんから、他の部署に異動になったために連絡が遅れたと聞いて「そういうことやったのか」とハカセは納得したというがな。
東海のある新聞拡張団の方からの断りについては、都合が悪いのなら仕方ないくらいに考えて深く詮索する気はなかったが、最近になって、ある業界関係者の方から、
最近、死刑執行された元A新聞セールス員の件ですが、事件の情報は報道から知る限りのものしか、私も知りません。
A新聞社の社内でもその話はタブーで、社員は一切それにまつわる話には口を閉ざしています。
忌まわしい事件の影を早く消し去りたいと思っているのだと感じています。
しかし、その事件以後の名古屋でのA新聞のセールス事情は一変しました。
名古屋本社管轄の所属セールスチームは全て解散廃団となり、一切外交セールス活動は出来なくなりました。
もちろん店はやっていますが、団は活動していません。Y新聞は普通にやっています。蛇足ですが、名古屋のY新聞の販売店は団が経営しているところもあります。
A新聞では、それをカバーするために「テレホンマーケッティングセンター(略してテレマと言っている)」を設立して現在に至っています。社長はA新聞社から出向しています。
かなり大きなコールセンター内に300〜400名くらいのテレホンアポインターがいます。
電話帳や店からのデータをもとに、名古屋だけでなく日本中に電話をしています。
やり方としては該当するA新聞販売店のバンク(営業範囲)の見込み客に一定期間を設定して、電話で「試読のお願い」をしています。
試読1件について1,000〜1,500円を新聞社がテレマへ払っています。
大体100〜150件くらいの試読紙を該当するA新聞販売店のバンクへ1週間入れ、刈取りにはセールスチームが行きます。
それを「パッケージセールス」と称して、半日くらいの講習を受けたセールスに別のセールス許可章を出してやらせています。
5名1組で通常2〜3組で2日間連続で実施し、かなりの効果を上げています。
東京本社管内では一回2日間で30〜70枚位のカードが揚がっています。最近、Y新聞社が真似をして同じような事をはじめています。
以上、この事件についての内ネタはありませんが、その後のA新聞社の対応はこんなところくらいですね。
この事件やM新聞の配達員が起こした少女殺人事件のような重大事件は世の注目を浴びる事になるので隠し様が有りませんが、窃盗や暴力事件などはセールス・販売店・新聞社では、いつでもどこでも起こっています。
例えば、Y紙の販売員や店員が起こした事件は他紙では「Y紙の……」と出ますが、Y紙では単に「新聞販売員・配達員」と、なるべく目立たない場所の小さな記事で出ます。
横浜で起きた元Yの販売店員(事件の2か月前までいた)が起こした殺人事件の時は、販売店前に連日、テレビや報道の車が取材で行列を作っていましたが、販売店がらみの内容は紙面には一切出ていませんでした。
販売店に居た時からのかかわりで起こした事件だったにもかかわらず、現役で無かったので出なかったのだと思います。
新聞社は自分に都合の悪い事は「きちんと報道している」と言い訳できる程度の最小限の事しかしないのです。
ですから今回の死刑執行も、その事件をぶり返して思い出させないように死刑囚の名前を出しただけで、今の法務大臣に成って初めての死刑執行だと、そちらに重点を置いた報道に成っています。
と教えて頂いたことで、ほぼ納得できた。
『名古屋本社管轄の所属セールスチームは全て解散廃団となり、一切外交セールス活動は出来なくなりました』というのは知らんかった。
件の『東海のある新聞拡張団』もA新聞名古屋本社管轄の所属セールスチームと思われるが、そのような情報は入って来んかったしな。
ただ、その辺りの新聞拡張団の方々となぜか連絡が取れない状態になっていたのは事実やったが、それについてハカセは特に気にすることはなかったという。
ハカセの方から読者の方へ滅多に連絡することはないし、例え連絡して返信がなかったとしても「忙しいのだろう」というくらいにしか考えていなかったからや。
たいていの場合、ハカセはメールがあった時に返信するのを日課にしている。
そのため数年間、音信がなく、ある日ひょっこり連絡をされて来られる人も少なからずおられる。
ワシらは、それでええと思うとる。連絡の必要のある時に連絡して頂けたら、それでええと。ワシらに気を遣って頂く必要は微塵もないと。
それに件の『東海のある新聞拡張団』にとってみれば、突然『直前になって「やはり団の名前を出すことになるのは、まずいので今回の話は見送らせて欲しい」と言って来られた』ため、それから以降、ワシらに連絡し辛かったのやないかと勝手に考えていたということもあったからや。
しかし、この方の情報で、どうやらそうではなさそうやというのが分かった。急いで、再度、連絡を試みたが未だに何の連絡もない。
本当に『解散廃団』になってしまったのやろうか。あるいは、どこかで続けておられるのやろうか。
もし、その方がこのメルマガを見ておられたら連絡して頂きたいと思う。差し支えなければ、その後のご様子を知りたいと考えているので。
『名古屋のY新聞の販売店は団が経営しているところもあります』というのは、名古屋に限らず、東海全域、あるいは関西方面にも、そういった例が存在するのはワシもよく知っている。
『「テレホンマーケッティングセンター(略してテレマと言っている)」』についても、サイトのQ&A『NO.1138 私の考えは理想論でしょうか?』(注2.巻末参考ページ参照)でも取り上げたことがある。
それ以前にも、ある読者の方から非公開を条件に、『テレホンマーケッティングセンター』に勤めておられた方から、いろいろ教えて貰っていたので、寄せて頂いた情報の信憑性が高いというのも、よく分かっている。
ただ、名古屋本社管轄の所属セールスチームが、すべて廃団になったために『テレホンマーケッティングセンター』が設立されたというのは知らなんだ。
『新聞社は自分に都合の悪い事は「きちんと報道している」と言い訳できる程度の最小限の事しかしないのです』というのは昔から変わらん新聞社の体質ではあるがな。
しかし、そんな体質が続く限り、新聞に明るい未来はないと言うとく。
新聞は世の中の不正、悪事を公にして糾弾するためにはなくてはならんものや。
その新聞自身が自ら都合の悪いことを隠したり、ごまかしたりするようでは救いがないわな。
世の中の不正、悪事に厳しくするのなら、自らの負の部分に対しても明らかにし、それ以上の厳しさで臨んで欲しいと考える。
それでないと、新聞がすべての読者からの信頼を得るのは難しいと言うしかない。それについて批判されても返す言葉がない。
今の時代、どんなに隠し事やごまかし事をしても簡単にそれと分かってしまうわけやさかいな。
昔から、ずっと言い続けているが、一日も早く、新聞社自らがその事に気づいて欲しいもんやと思う。
参考ページ
注1.第160回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ネット世界の闇とそれに関わった拡張員
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage13-160.html
注2.NO.1138 私の考えは理想論でしょうか?
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage10-1138.html
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