メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第420回 ゲンさんの新聞業界裏話

発行日 2016. 6.24


■2016年参議院選挙の情報やデータを勧誘トークで有効活用するには?


今年、2016年の参議院選挙は6月22日に公示され、18日間の選挙戦の後、7月10日が投票日と決められた。

もうそろそろ各自の手元には「投票所入場券在中」と封筒に印刷された投票用紙が届けられている頃やと思う。

選挙の間、選挙に関する情報やネタを雑談や勧誘トークとして使っている勧誘員の方は、あまりおられないのやないかな。

それには、勧誘員自身が選挙の話なんかしても、誰も聞く耳なんか持ってくれへんと勝手に考えているからやという気がする。

ワシの経験上、そんなことはないと言い切れる。

ワシは、昔から選挙期間中、雑談および勧誘トークには必ず選挙に関する情報やネタを話すようにしてきた。結構、客の食いつきは良かった。

もともと、雑談では旬な話題、時事ネタを交えるのは常套手段、普通のことやから、選挙期間中に選挙の話をするのは当然のことやと考えていたしな。

ただ、雑談および勧誘トークで選挙に関する情報やネタを使いこなそうと思えば、それなりの勉強と説得力を身につける必要がある。

単に「いよいよ、参議院選挙ですなあ、ご主人(奥さん)は誰に(どこの党に)投票されるおつもりですか」と言うだけではあかん。

よほど、心安い人なら、それでも話くらいは聞いて貰えるかも知れんが、初対面の人に、いきなりそんなことを訊くのは勧誘員としては致命的や。

相手にして貰えない可能性の方が高い。

ここで、ワシが初対面の人に使うてる選挙期間中の雑談、および勧誘トークを披露する。

まず、「私は○○新聞の○○という者ですが、今回の参議院選挙についてのアンケートに、ご協力して頂けませんか?」と言う。

こう言うと、中には本当に新聞社から、そんな方法で世論調査をしているのかと勘違いする人がおられる。

実際には、世論調査やないから、2009年12月1日に施行された『特定商取引に関する法律』(注1.巻末参考ページ参照)の改正法、第3条ノ2第1項「勧誘の意志の確認」をせず、身分を偽っている違法行為やないかと言われるかも知れんが、この段階までならセーフやと考えている。

『身分を偽っている』というのは、ワシら新聞勧誘員は新聞社から公式に社名を名乗っても構わないというお墨付きを貰っているさかい、『私は○○新聞の○○です』と言うのは間違いではないし、名乗ってもいるから違法にはならない。

実際、新聞勧誘員は、新聞社から委託された新聞営業会社(新聞拡張団)の人間(拡張員)、あるいは新聞販売店の従業員やさかい、広義の意味での『○○新聞』の人間ということになる。

もっとも、ここで『○○新聞の社員です』と言うのは拙いがな。

『特定商取引に関する法律』の改正法、第3条ノ2第1項「勧誘の意志の確認」に、


販売事業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手側に対し、勧誘を受ける意志があることを確認するよう努めなければならない。


というのがある。

要するに、「これから新聞の勧誘をさせて頂きますけど、よろしいでしょうか」と言って、相手方に勧誘の意志があることを確認してから勧誘しなさいとなったわけや。

それに違反しているやないかと言われるかも知れんが、この段階までなら違反しているとは言えんと思う。

確かに、一般宅に訪問する目的には「勧誘するため」ということが含まれているが、『私は○○新聞の○○という者ですが、今回の参議院選挙についてのアンケートに、ご協力して頂けませんか?』と訊いている段階では、まだその相手方を勧誘対象者として決めているわけやない。

当然やが、勧誘対象者と決めていない相手に対して『これから新聞の勧誘をさせて頂きますけど、よろしいでしょうか』と訊くことはないという理屈や。

新聞勧誘は、すべての人がその対象になるわけやない。対象となる人は、ごく一部に限られる。多くて10人に一人くらいなものや。

殆どは断られるか、拒否されるわけやが、勧誘する側としても客を選ぶ権利はある。

ワシは相手を見て、勧誘するか、しないかを決める。むやみやたらと勧誘するようなことはしない。

そうせんと効率が悪いさかいな。少なくともワシは、そう考え心がけている。

その判断をするために『私は○○新聞の○○という者ですが、今回の参議院選挙についてのアンケートに、ご協力して頂けませんか?』と尋ねる方法もあると考えている。

この問いかけに興味を示す人であれば、勧誘対象者になり得るし、そうでないと判断した人は勧誘対象者から除外する。

ただ、杓子定規に「断られた」というだけで、その判断を下すようなことはせんがな。

こちらが探りを入れているのと同じように、相手方の方でも探りを入れているというケースは十分あるさかいな。

そのあたりの機微については、その時々で判断するしかないと思う。

ここからは勧誘対象者と判断した場合の勧誘トークに移らせて貰う。

まずは、積極的に持っている情報を伝える。さすがに新聞関係者やなと思わせれば第1段階としては成功や。

ここで、今回の参議院選挙についてのアンケート形式の質問や争点、およびデータについて列挙するさかい、活用して頂けたらと思う。

今回の場合、常の国勢選挙とは違った面が幾つかあるさかい、その点を強調しながら話を進めれば効果的や。

ただ、一つ断っておくが、なるべく「どこそこの政党が良くて悪い」、「候補者の誰それが良くて悪い」といった勧誘員の個人的な感想は言わん方がええ。

あくまでも、今回の参議院選挙に関する情報とデータを提供して、意見(アンケート)を訊くという姿勢に徹することや。

その意見を訊いた上で、勧誘できるか、どうかを判断すればええ。

それでは始める。


2016年参議院選挙についての情報とそのデータあれこれ


1.今回の参議院選挙から18歳以上の人に選挙権が与えられた。

昨年、2015年6月、改正公職選挙法が成立し、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられた。

そのため今夏の参院選から18、19歳の約240万人が新たに有権者になると見込まれている。

政府与党、取り分けネットで若者の人気が高いと考えている安倍首相あたりは、その票の大半を取り込めると見込み、この法案を可決させたわけやが、思惑どおりになるか、どうかは蓋を開けてみないと何とも言えんのやないかと思う。

18、19歳の若者をバカにしてはいけない。自分自身に置き換えて昔を振り返ってみれば分かると思うが、大人に対してはシビアな目を持ち、批判できる年頃やしな。

ワシらは、冷静な判断ができる若者たちが多いと期待しているし、信じてもいる。

一部の政府与党関係者には、安倍首相の熱烈なネット支持者の若者が多いと勘違いして楽観視すると思わぬしっぺ返しを受けるのやないかな。

どの年代の人であっても最も多いのがサイレント・マジョリティ(物言わぬ多数派)と呼ばれる人たちや。それに一切の例外はない。

その人たちが、どう判断するかで選挙の趨勢が決まると言うてもええ。

18歳以上であれば選挙運動もできる。買収などの連座制の対象となる重大な選挙違反をした場合は、原則として成人と同様に刑事訴追の対象となる。

選挙権年齢を「18歳以上」としているのは、世界の約190カ国地域のうち約9割やさかい、その点では日本は遅れていたことになる。

今回の参議院選挙の場合は、投票日の7月10日に満18歳になっていればええわけやが、これについては問題も指摘されている。

満18歳と言えば、一般的には高校3年生ということになるが、同じ高校3年生の同じクラスの同級生でも7月11日以降に誕生日を迎える人には今回の選挙権は与えられないということが起きる。

選挙権を与えられた人と、与えられなかった当事者である高校3年生には割り切れん思いが生じるのやないかと思う。

生まれた日が僅かに違うというだけで、机を並べている同級生同士が差をつけられるわけやさかいな。しかも、その差は大人と子供ほども違う。

また、高校3年生が同じようにツイッターやブログで「この候補者を応援して」とつぶやき書き込みをして拡散させた場合、年齢が18歳になっていればOKやが、17歳の生徒は公職選挙法に触れ違法性が問われる可能性があるという。

当然、公職選挙法に違反すれば検挙されることになる。その内容次第では、犯罪者になるわけや。同じ同級生でも18歳になっていれば何のお咎めもなくて、僅か数日、数ヶ月誕生日が遅いというだけで罪人になる。

日本は公職選挙法違反に関しては特にうるさい国や。僅かな違反でも検挙されることが多い。それからすれば、17歳で逮捕者が出ることも十分考えられる。

今回だけ大目に見ようなどという優しい配慮は警察や検察にはないさかいな。他の大人と同じように処理される。

そういった理不尽かつ不条理な事というのは法律の適用年齢が改正された時には、しばしば起きる問題やが、それをどれだけの人が理解しているかとなると、はなはだ疑問やと思う。


2.参院選公示を前の全国世論調査について

新聞各社の世論調査が発表されている。それぞれ政府与党寄りと目されるY新聞、反政府の論調が多いとされるA新聞が、それぞれ行ったとされる世論調査の結果を知らせる。

Y新聞では、


http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2016/news1/20160619-OYT1T50098.html?from=yartcl_outbrain1 より引用

比例投票先、自民35%・民進12%…読売調査


参院比例選での投票先は、自民党が35%でトップを保ったが、前回調査(6月3〜5日)の42%から7ポイント下落した。

民進党は12%(前回11%)とほぼ横ばいで、公明党、おおさか維新の会の各7%、共産党の4%などが続いた。

安倍内閣の支持率は49%で前回の53%からやや下がった。不支持率は38%(同35%)となった。


となっていて、A新聞では、


http://www.asahi.com/articles/ASJ6M52ZFJ6MUZPS008.html?iref=com_alist_8_07 より引用

比例投票先「自民38%民進15%」 朝日連続世論調査


 朝日新聞社は18、19日、参院選(22日公示、7月10日投開票)に向けた連続世論調査(電話)の2回目を実施した。

 仮にいま投票するなら、比例区ではどの政党に投票したいと思うかを政党名を挙げて尋ねると、自民38%(4、5日の前回調査は39%)、民進15%(同12%)、公明7%(同7%)、共産6%(同7%)、おおさか維新の会4%(同6%)などとなった。


という結果やったという。

双方共に、その差に大きな開きがないことから、現時点では概ねこんなものやろうと思う。

ただ、これは回答が得られた人たちだけで「どこに投票するか決めていない」という人たちが4割程度いるから、この数字を鵜呑みにはできない。

選挙には風という不確定な要素が強く左右し、選挙期間中、何かの突発的な事件、出来事で流れが大きく変わるというのは過去の国政選挙では幾度となく繰り返されてきたしな。

現時点では50%台の低投票率になると見込まれていて、そのとおりであれば世論調査と、ほぼ近い結果になると予想されているが、今回の参議院選挙は、今までと違い、かなり不確定要素が多いさかい、波乱になることも十分考えられる。


3.アベノミクスへの評価と是非、今後の経済対策について

安倍首相は、安倍晋三首相は6月1日、国会閉会を受けて首相官邸で記者会見し、来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げについて、「延期するべきだと判断した」と表明した。

これにより、2019年10月までの2年半再延期することが決まった。

前回の延期を決定した14年11月、15年10月に予定していた10%への引き上げを1年半延期する方針を表明した際、「再び延期することはない」と安倍首相は、はっきり断言していた。

その前言を撤回して再延期したことについて「これまでの約束とは異なる新しい判断だ。公約違反との指摘は真摯(しんし)に受け止める。参院選を通して国民の信を問いたい」と述べた。

野党側は、増税先送りを「原因はアベノミクスが失敗したからだ」と厳しく批判している。

正直、増税の先送りについては多くの一般庶民にとっては朗報やろうと思う。

ただ、安倍首相の経済政策がどうなのかとなると、その判断は難しくなる。

安倍政権の経済政策アベノミクスの象徴でもある「大胆な金融政策」には手詰まり感が強い。

日銀が、今年の2月に導入したマイナス金利政策は、金融機関の反発や預金者の不安を呼んでいる。

安倍政権からデフレ脱却を託された日銀の黒田東彦総裁は2013年4月に「異次元緩和」の導入を決めた。

大規模な金融緩和で円安・株高を促し、企業収益の増加を通じて賃金が上昇し、消費が拡大するという景気の好循環を狙った。

しかし、企業業績は過去最高水準に達したものの、賃金の上昇は限定的で、個人消費は低迷が続いている。

今後も、アベノミクスの継続により経済が好転する見込みは低いと見られている。アベノミクスの人気は政府与党が思っているよりも悪い。

世論調査でも、


http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000302/20160226-OYT1T50003.html より引用

アベノミクス「評価せず」57%…読売世論調査


 読売新聞社は、安倍内閣の経済政策「アベノミクス」に関する全国世論調査(郵送方式)を実施した。

 この3年余りの経済政策を「評価しない」は57%で、「評価する」の42%を上回った。

 評価しない理由(複数回答)のトップは「収入が増えない」の60%で、評価する理由(同)は「大企業を中心に業績が改善した」の44%がトップだった。

 今後、景気回復を「期待できる」と答えた人は34%、「期待できない」は65%だった。景気回復を「実感していない」は84%に達した。

 アベノミクスへの厳しい評価が多数となったのは、企業の業績改善の効果が家計に及んでいないことや、年明けからの株価の乱高下で日本経済の先行きに懸念が広がったことが影響したとみられる。


という厳しい結果になっているさかいな。

一般的に、増税を掲げた与党は選挙で負ける確率が高いさかい、安倍首相は、それを回避する意味もあり、増税を先送りしたというのが大方の見方やとされている。


4.憲法改正問題について

安倍首相は、参議院選挙の結果次第で憲法改正を強行に押し進める算段をしていた。

自公両党は2議席を上積みすれば改選過半数に達する。また、自民党は57議席で27年ぶりに単独過半数を回復する。

改憲勢力と位置付けられる自公とおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の非改選議席は計84で、4党が今回、78議席を獲得すれば3分の2(162)に届き、衆議院の3分の2の議席と合わせて憲法改正に向けた法案が出せ、可決させることができる状況になる。

しかし、安倍首相は、「今回の選挙で憲法改正を争点とすることは必ずしも必要がない」との考えを示している。

ただ、自民党の2016年の運動方針では、憲法改正について「国民各層、各種団体との協力の下、憲法改正賛同者の拡大運動を推進する」と明記している。

つまり、暗に憲法改正を、今回の参議院選の重要な争点と認めて戦おうと身内の中では言っているわけや。

これについては、憲法改正論を持ち出すと選挙戦が不利になるというので、敢えて安倍首相が、『今回の選挙で憲法改正を争点とすることは必ずしも必要がないしている』と言って逃げているという批判が野党側から出ている。

これを有権者が、どう見て判断を下すのかが注目される。


5.『安全保障関連法案(安保法案)』の強行採決の影響について

2015年9月19日。衆議院に引き続いて『安全保障関連法案(安保法案)』が、参議院でも強行可決された。

これについては、『第381回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■報道のあり方 その8 安保法案強行可決に見る新聞各紙の二極化について』(注2.巻末参考ページ参照)の中でも言うたが、強行採決に踏み切った政府与党に対して多くの国民が怒り抗議した。

しかし、結局、その声は無視されたままになり、現在に至っている。

それについて、


なぜ、そんなことになったのか?

答えは簡単。国会で政府与党が圧倒的多数の議席数を占めているからや。

議会制民主主義のもとでは、議席の多い与党が法律を決めるという仕組みがある。

与党と野党の議席数が拮抗していれば、こんなことにはならんかったやろうが、極端に議席の少ない野党では、どれだけ頑張っても強行採決を阻止することなどできんということや。

今回のように1万人近い憲法学者たちが、いくら口を揃えて『安全保障関連法案(安保法案)』は違憲だと声を張り上げようが、大規模な反対デモが起き、国民の大多数が反対していようと、そんなことにはお構いなしに政府与党の一存で、どんな法案、法律であっても決めてしまうことができるわけや。

最早、今の日本において国会の審議など、ただのセレモニーにすぎないと言うしかない。

さすがに国会の審議なしに法律を作るわけにはいかんから、一応、形だけ審議したことにしているだけの話でな。

実際には現在の与党の法案が成立するのは、総理や一部の高官、高級官僚たちが頭の中で考えた時に決まっているも同然なわけや。

好き放題に法律を作ることができる。今後も間違いなく、この流れは続く。その意味では今の日本は「独裁的国家」と言えるかも知れん。

残念ながら、それをくい止める術は今のところない。

今回のような結果は、成るべくして成ったと言う外はない。予想されたことやと。


と言うて嘆いていたが、状況が変わりつつあるのも確かやった。

その時のことを、


高投票率の結果、選ばれた議員たちによって決めた法律なら、あきらめもつく。

しかし、低投票率で国民の3割が支持しただけの議員たちに強行採決されるというのは、どう考えても納得できん。

ワシらは、それが嫌さに、このメルマガで嫌われるのを承知で政治の話題を持ち出し、選挙前には必ず選挙に行くようにと訴え続けてきたわけや。

「喉元を過ぎれば熱さを忘れる」と言うとおりで、『特定秘密保護法』が強行採決されて多くの国民の怒りを買っていたにもかかわらず、その翌年の総選挙で政府与党が何事もなかったかのように大勝した。

そのことで、ワシは大きな失望感を味わった。

今回も次の国政選挙である、来年夏の参議院選挙では同じように低投票率になるのやないかと考えていたが、今回は、ひょっとすると違うのやないかと思えるような新聞記事があった。


http://mainichi.jp/select/news/20150917k0000e040177000c.html より引用

安保法案:合言葉は「賛成議員を落選させよう」


 ◇国会前で、街頭で、ネットで、野火のように広がる

 安全保障関連法案に反対する人々が集まる国会前で、各地の街頭で、ネット上で、一つの合言葉が野火のように広がっている。

「(法案)賛成議員を落選させよう」。来年の参院選をにらみ、抗議のうねりが「落選運動」へと発展する可能性が出てきた。

 今月11日、国会前。「テレビでビートたけしさんが『選挙で呼びかけをした方がいい』と言っていた。じゃあさせてもらいましょう」。

 学生たちでつくる「SEALDs(シールズ)」の中心メンバー、奥田愛基(あき)さん(23)=明治学院大4年=がひと呼吸置いて、声を張り上げた。

「賛成議員を落選させよう」。参加者たちが鳴り物を打ち鳴らしながら大声で唱和する。

 16日、国会前で与党の参院議員の顔写真を並べ、落選を呼びかける人がいた。「強行採決がなされようとしている今、我々に残された手段は議員を揺さぶること」。

 シールズに刺激され60?70代で結成した「OLDs(オールズ)」のメンバーで、建築作業員の枚田繁さん(66)だ。「法案が通っても来年の参院選まで声を上げようと話し合っています」

 ネット上では、法案が7月に衆院を通過したころから言及が増え始めた。「落選運動の準備しとこっと」「地元議員に非応援メッセージを送ろう」

 総務省によると、落選運動は他の候補を当選させる目的でなければ「選挙運動」には当たらない。ウェブサイトなどでメールアドレスを示す義務があり、虚偽の事実を広めれば罰則の対象となる。

 選挙プランナーの松田馨氏は「やり方次第だが、結果を出すことは難しい」と話す。

 それでも、シールズの中心で活動する筑波大大学院生の諏訪原健さん(22)は「『落選させよう』は、9月に入り増えているコール」と話す。

「最後は選挙で自分たちの声を届けないといけない。法案が通って終わり、という動きにはしない。今起きていることを簡単に忘れる社会にはしたくない」


と言うてた。

この事の是非は、それぞれが判断すればええことで、ワシらはその行動に与するつもりも反対するつもりもない。

ただ、こういった運動が広がることで若者が政治に関心を持ち、選挙に行くキッカケになってくれるのなら、悪くはないと思うと、その当時、そう言うた。

その後、シールズは、いろいろと活動していたようで、今回の参議院選挙についての動きとして、


http://mainichi.jp/senkyo/articles/20160618/ddm/002/010/116000c より引用

シールズ、政党と一線 野党期待に冷静対応 比例は自由投票


「テレビでずっと拝見していました。お隣に座れるなんて感激です」。「時の人」を紹介する司会の東京都議の声は上ずっていた。

 今月4日、東京都内で開かれた民進党元参院議員の総決起集会。参院選比例代表で再起を目指す陣営は、安全保障法制に反対する学生たちの団体「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基さん(23)をゲストに招いた。

 司会者の言葉にはシールズへの期待がにじんだが、応じる奥田さんは終始冷静だった。

 昨年5月に発足したシールズは、安保法制反対の国会前デモで注目を集めた。

 安保関連法に賛成した議員の落選運動を進め、参院選の「1人区」(改選数1、32選挙区)で共産党に候補予定者の取り下げを働きかけるなど、参院選に向けた活動を展開してきた。

 18、19歳にも選挙権が認められる今回の参院選では、若者層への浸透が各党の共通課題だ。学生を中心にした「新興勢力」の動きにおのずと関心は高まる。与党関係者は「昨年夏ごろのように盛り上がったら脅威だ」と警戒する。
 実は、参院選の前哨戦として注目された4月の衆院北海道5区補選でシールズは壁にぶつかっていた。

 奥田さんらメンバー20人は、無所属の野党統一候補、池田真紀氏を支援するため現地に入り、集会の企画や動画配信などで懸命に支持を広げたが、池田氏は自民党の和田義明氏に約1万2000票差で敗れた。

 メンバーの本間信和さん(21)は振り返る。「安保法制反対のデモをしているときには、国民が何を考えているかが分かっていなかった。選挙ではそれが数字で見える。うかうかしてらんねえぞという気持ちになった」。

 毎日新聞と北海道放送の出口調査では、投票の際に「安全保障問題」を重視したと答えた有権者は19%。最多の「医療や福祉の充実」(40%)に遠く及ばなかった。

 活動が地元紙の1面で取り上げられたことにもメンバーはとまどった。「地元の人が前に出ないと意味がない」と本間さん。

 その後、シールズは補選の教訓をマニュアル化して各地の政党支部や大学に提供。街頭演説では、安保反対だけでなく雇用問題や貧困の連鎖などにテーマを広げた。

 元参院議員の総決起集会で、奥田さんは「僕は民進党を応援しているから、ここに来たわけではない」と明言した。

 シールズは選挙区(改選数1の「1人区」)では野党候補を支援するが、比例代表に関しては、野党の統一名簿構想が頓挫したこともあって、個々のメンバーが投票先を自由に決める。特定政党に肩入れすることはない。

 参院選後、シールズは解散する予定だ。諏訪原健さん(23)は「もう、はやりは終わったんで」と冗談めかして語る。

 一方ではこんな声がある。「シールズは個人の集まり。あまり過大評価されるのは困る。そういう人たちに限って、自分で責任を負わずにシールズ任せにするから」。シールズは政党との間合いを絶えず計っている。


という報道記事がある。

彼らシールズの影響が、どの程度あるのかは、まだ未知数やが無視できるレベルではないのは間違いないと思う。


6.桝添都知事辞任問題について

『第418回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■桝添東京都知事の弁明で新聞のイメージが悪くなりませんか?』(注3.巻末参考ページ参照)の中でも言うたが、この問題に対する国民の注目度は高く、今回の参議院選挙への投票行動にも大きく影響されると見られている。

この中で、


現在、東京都議会で桝添都知事への追求が行われている。

ただ、当初は議席の過半数を占める自公の議員による追求は緩いと思われていた。特に、強い調査権限を持つと言われる百条委員会の設置に消極的やったという。

現時点で都議会が桝添都知事を辞任に追い込むことのできる最善の手が、百条委員会の設置だと見られている。

百条委員会で証言を拒否したり、嘘の証言をしたりすると、禁固や罰金に処せられるという規定があるからだと。

前東京都知事の猪瀬直樹氏が、医療法人から5千万円を受け取って追及された問題で、百条委員会の設置が決まった直後に辞任したということがあったさかい、今回の桝添都知事の場合もそうなる可能性が高いと言われている。

ただ自公の議員にとって舛添都知事に今辞められては困るという理由で、百条委員会の設置には消極的やという話が洩れ聞こえてきている。

実際、自公の議員の中から、

「桝添都知事を辞任に追い込んで選挙になった場合、自公には擁立できる候補者が見当たらず、野党がどんな候補を立てるかわからないので、すぐに辞めさせるわけにもいかない」

「自民党と公明党は知事選で舛添氏を応援した経緯があるから、百条委員会の設置に賛成反対のどちらでも批判される。本会議より前の議会運営委員会で百条委員会の設置を止めないと拙い」

「舛添知事が7月18日より前に辞めると、4年後の知事選は7月24日から9月6日のオリンピック期間中と重なる。これを避けるためにも、今の時点で桝添都知事に辞められては困る」

という声が上がっていて、それが主流を為していると。

ただ、ここにきて、自公の議員の中にも百条委員会の設置もやむを得ないと主張する声が増えている。桝添都知事を辞任に追い込むのもやむなしと。


と言うたが、結局、


http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H76_U6A610C1EA2000/ より引用

自公急転「舛添降ろし」加速 参院選へ火種摘む


 東京都の舛添要一知事の政治資金流用疑惑は14日、都議会最大会派の自民党が不信任決議案の提出を決めたことで、「舛添降ろし」の流れが一気に加速した。

 自民党は知事与党の立場から当初は追及に及び腰だったが、世論の批判が全国的に広がるにつれ辞職は避けられないと判断した。

 公示まで1週間と迫った参院選や来夏の都議選への影響を考慮し、早期収拾にカジを切った。


ということで、頼みの自公から引導を渡された桝添都知事は辞任を選択した。

ただ、国民の多くは、その後も数々の疑惑を追及すべきだと思っていたが、自公の判断で、その後の都議会では一切の追及は行われず、この騒動はうやむやのうちに終わろうとしている。

自公は、参議院選に影響を及ぼすからという理由で桝添都知事を辞任に追い込んだわけやが、選挙がなかったら、自公の都議も、そこまではせず、かなりの高確率で桝添都知事の辞任はなかったやろうと思う。

当初の予定どおり、自公の都議、政府にとって都合の良い桝添都知事を擁護していたはずや。それを選挙に悪影響が出るからという理由で切った。

この結果が、今回の参議院選挙に、どういった影響を及ぼすのか注目されるところや。


7.野党共闘について

今回の参院選の特徴は何と言っても野党が結束して候補者を擁立したという点やろうと思う。

特に、今まで、どんなに劣勢な選挙であっても必ず独自候補を出し続けてきた共産党が、野党結束という旗の下に、独自候補の擁立を止めたことや。

それについての報道がある。


http://www.asahi.com/articles/ASJ5Q5SQ2J5QUTFK009.html より引用

野党共闘の前進「うれしい想定外」 志位・共産委員長


■志位和夫・共産党委員長

 32の参院選1人区での野党統一候補がすべてで実現する見通しがついた。正直に言うが、この方針を提案した際、ここまで(野党共闘が)前進できるとは想像していなかった。うれしい「想定外」だ。

 香川県では共産党の候補に一本化する方向になった。選挙共闘、いよいよ力が入る。32全部で自民党を打ち負かしたい。

 最近、(行政の長である)安倍(晋三)さんが「私は立法府の長だ」と言っている。びっくりだ。この発言がもし勘違いなら、繰り返し言っているので、お粗末な総理大臣ということになる。

 もし本気で言っているのなら、気分は独裁者ということになる。(立法、行政、司法の三権がそれぞれ独立するという)三権分立の否定になる。

 自分が憲法によって縛られているという自覚がない人が、総理大臣をやっている。こんな恐ろしいことはない。このような救いがたい人物にはお引き取りいただくしかない。


というものや。

この事も選挙に、どう影響するのか注目されている。今回の参議院選挙で上手くいけば、今後の国政選挙でも野党共闘が実現する可能性が高いものと思われる。


8.定数10増10減について

今回から参議院選挙から定数10増10減が実施される。

宮城県選挙区・新潟県選挙区・長野県選挙区では、いずれも定数4改選数2から定数2改選数1に減らされた。

鳥取県選挙区と島根県選挙区、徳島県選挙区と高知県選挙区とがそれぞれ合併され、定数2改選数1となる。

北海道選挙区・兵庫県選挙区・福岡県選挙区はいずれも定数4改選数2から定数6改選数3、愛知県選挙区は定数6改選数3から定数8改選数4、東京都選挙区は定数10改選数5から定数12改選数6に、それぞれ増やされた。

これは一票の格差を是正する目的で行われたはずやが、実際には1票の格差、3.08倍あり、2013年参院選の4.77倍からいくらか改善した程度にしかなっていない。

「茶を濁す」という言い方があるが、そんなところやな。もちろん、これも数の論理に物を言わせて自民党主導で決められたことや。自分たちに有利に働くやろうという計算の下にな。

ともあれ、これで選挙戦が行われることが決まったわけやから、当該地域にお住まいの方は、そのことを踏まえて投票するしかない。


9.党名変更による混乱について

今回の参議院選挙では、それまで野党第1党やった民主党に維新の党が加わり、新たに「民進党」が結成された。

複数の党が集まって新党が結成されるのは珍しいことではないが、民主党は政権を取ったことのある党で、それなりに多くの国民に浸透している有名な党や。

その党名変更が周知徹底されていれば問題ないが、中には知らない人もいて、比例の政党名を記入する際、「民主党」と書いても不思議ではない。

ただ、そうすると大変な事態を引き起こしかねないという。そんな報道があった。


http://news.goo.ne.jp/article/thepage/politics/thepage-20160616-00000004-wordleaf.html?page=2
 より引用

民進党発足で「民主」票が無効に? 現存しない政党名はどう扱われるか


「民主党」と「民進党」は同一と認められる?

 ただ今回の場合、「民進党」という党名が、例えば「民主進歩党」といった党名の略称ではなく、それ自体で正式な党名であることから、「一般的にいえば、『民主党』と『民進党』が同一というには無理がある」(片木教授)といいます。

 なお、政党名やその略称が同一の場合は、公職選挙法第68条の2第3項で“参議院名簿届出政党等の名称若しくは略称が同一である参議院名簿届出政党等が2以上ある場合において、これらの名称若しくは略称のみを記載した投票は、有効とする”と規定されています。

 また、1983年の選挙部長通知では「名称又は略称の主要部分又は特徴的な部分が記載されていれば有効」ともされていることから、「民主」と記載された票は有効となり、自由民主党と社会民主党で按分される可能性は高いのです。

 しかし、ここに民進党が入ってくるかについては、上記の理由から片木教授は否定的です。

現段階で国のガイドラインはなし

 総務省選挙部選挙課は「『民主票』の判断について、法令通りに『開票管理者』の判断に委ねている」と話しています。

 また、「民主票」の扱いについての総務省の見解を、ガイドラインなどの形で都道府県の選管に送るかは、選挙が間近に迫った現在も未定ということです。

 東京都の選管事務局も「票の扱いが不公平になるのを避けるため、判断は慎重にしないといけないと考えている。国のガイドラインに従うつもりだが現段階ではないため、『民主』票の扱いは未定」との回答でした。

 法律で定められているといっても、開票管理者(選挙管理委員会)によって判断が分かれるのは、候補者に不公平感が生まれる可能性もあります。

 片木教授は、「最終判断は開票管理者の責任において、個々の投票の記載内容とそれぞれの地域の実情を踏まえて行うべきものですが、総務省からも参考として、一定のガイドラインを示すべきでしょう」とあらためて指摘しました。


というものや。

比例政党名に「民主党」と書く人は、「自民党」には入れたくないと考えている人が大半やと思う。

それにもかかわらず、現状の法律、選管担当者の判断では『自由民主党と社会民主党で按分される可能性』が高いという。

「民進党」のつもりで入れた人の票が「自民党」の票としてカウントされたんでは泣くに泣けん気持ちになるのやないかと思う。

おそらく、こういうことが起こるのは今回限りやとは思うが、勧誘している時、その可能性があると判断したら注意喚起して貰いたい。その人のために。


10.原発の再稼働問題について

原発に反対する多くの人たちにとっては、これを一番の争点と考えているものと思われる。

その人たちを逆なでするような報道があった。


http://www.asahi.com/articles/ASJ6N4G0DJ6NULBJ00N.html より引用

40年超の高浜原発、初の運転延長認可 例外が続く恐れ


 原子力規制委員会は20日、運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県)について、60年までの運転延長を認可した。

 東京電力福島第一原発事故の後、原発の運転期間を原則40年とする制度ができてから初めて。運転延長の審査の「ひな型」ができたことになり、「例外」とされてきた運転延長が他原発でも相次ぐ可能性が高い。

 規制委は高浜1、2号機について、劣化しつつある一部の配管や電気ケーブルの補強や交換を条件にした上で、60年の時点でも安全機能が維持できると判断。

 1号機は2034年11月、2号機は35年11月までの運転を全会一致で認めた。ただ、関電はケーブルの交換など安全対策工事に3年以上かかるとみており、再稼働は早くても19年秋以降になる見通しだ。

 今の制度では、原発の運転期間は規制委が認めれば1度だけ最長20年延長できる。1、2号機の場合、経過措置で猶予された7月7日の期限までに三つの許認可を受ける必要があった。

 関電は15年3月に新基準に基づく審査を、翌月に延長認可を申請。規制委は、期限までに許認可がそろわず「時間切れ」で廃炉を迫られる事態を避けるため、他の原発を後回しにする形で審査し、今年4月に新規制基準に基づく許可を出した。

 重要設備を実際に揺らして耐震性を確かめる試験を先送りして、今月10日に工事計画を認可した。

 福島の事故後、電力各社は40年前後の老朽原発6基の廃炉を決めたが、35年以上の原発は高浜以外に5基ある。

 関電は美浜原発3号機(福井県)についても延長を申請しているが、主な審査は終わり、期限の11月末までに認可される可能性が高まっている。


というものや。

原発反対を叫ぶ人たちにとっては許し難いことやと思う。

ただ、このまま自民党が圧倒的多数の議席を取り続ける限り、この流れは絶対に止まらんし、『原発の運転期間を原則40年とする制度』など、あってなきが如く形骸化していくのは間違いないと考える。

それについて、国民が反対の意志を示せる場は国政選挙しかない。原発の再稼働に反対する人には、そう説けばええ。

以上が、今回の参議院選挙を雑談ネタとして使う場合の情報とデータや。これらをどう使うかは、各自で考えて貰うしかない。

ただ、何度も言うが、勧誘員という立場で訪問先の人と選挙について話す場合は、極力「自分を殺す」ことを考えなあかんで。

意見を言うのなら、相手から「あなたはどう思いますか」と訊かれた場合だけに限定することや。

もっとも、その場合でも、なるべくなら自分の意見を言うというより、相手の喜びそうな結論を話すよう心がけることが肝心や。

それが成約に近づく最も有効な方法やと思う。そのために、ここで示した情報やデータを活用して頂けたら幸いや。

できたら、勧誘がどんな結果になろうと、「選挙には行きましょうよ」と言うて欲しい。

「国民一人一人が選挙に行くことで世の中は必ず良い方に変わりますから」と。



参考ページ

注1.第79回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■『特定商取引に関する法律』改正法は業界にとってのチャンスになる?
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-79.html

注2.第381回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■報道のあり方 その8 安保法案強行可決に見る新聞各紙の二極化について
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-381.html

注3.第418回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■桝添東京都知事の弁明で新聞のイメージが悪くなりませんか?
http://melma.com/backnumber_174785_6378450/


白塚博士の有料メルマガ長編小説選集
月額 216円 登録当月無料 毎週土曜日発行 初回発行日 2012.12. 1

ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート 
2011.4.28 販売開始 販売価格350円
 

書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』好評販売中


ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から


ホームへ

メールマガジン『ゲンさんの新聞業界裏話』登録フォーム及びバックナンバー目次へ