新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1393 初心者の自分でもカードをあげれる方法をご教授ください


投稿者 Sさん  投稿日時 2016.12.15 PM 11.24


自分新聞の拡張員をしてるいるのですが、今日で入って3日目なのです。

どうしてもカードを1枚、今年中にはあげたいので初心者の自分でもカードをあげれる上手い言い回しやアドバイス、相手を動かすテクニックなどをご教授お願いします。

お忙しい中本当にすみません。


回答者 ゲン


『どうしてもカードを1枚、今年中にはあげたい』と言われる気持ちは、よく分かるが初心者が初日から3日間程度カードをあげられんというのは普通にある。珍しいことやない。

何を隠そうワシ自身も、そうやった。それについては『新聞勧誘・拡張ショート・ショート・短編集 第3話 命の笑い』にある。今から20年以上も昔のことやがな。

『初心者の自分でもカードをあげれる上手い言い回しやアドバイス、相手を動かすテクニック』を教えて欲しいと言われる方は多いが、それを知ったところでカードをあげられるとは限らん。

そんな都合の良い方法は、この拡張の世界には存在しないと最初に言うとく。

あるのは、少しでも確率を上げることのできる方法だけや。それとて、絶対とは言い切れん。それで良ければ話す。

時間と意欲があれば、『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』 や『第83回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■2010年からの新聞営業講座……その1 拡張の心得について』 シリーズのその1〜その8、および『第375回 ゲンさんの新聞業界裏話 続ゲンさんの新聞勧誘営業講座 その1 新聞勧誘の心得』 シリーズのその1〜その7までをじっくりと読んで貰えれば、かなりのことが分かるやろうと思う。

ただ、あんたの場合は、初心者向けの手っとり早い方法が知りたいということのようやから、その中でも『第377回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■続ゲンさんの新聞勧誘営業講座 その3 新聞勧誘の第一歩』 で話したことが役立つのやないかと思う。


新聞勧誘の第一歩 話を聞いて貰える確率を上げるために気をつけたいこと


1.留守宅は除外する。

留守宅ばかり叩いて(訪問)も時間の無駄やというのは誰にでも分かるわな。

そうは言うても「留守宅かどうかはインターフォンを押して叩いて見な分からんやないか」という意見もあろうかと思う。

確かに、それも一理あるし否定はせんが、それでも叩く前に留守宅と察知できればもそれに越したことはない。

その方法なら、幾つかある。

ただ、その方法をここで公開してええものかどうかは、少し迷うところではあるがな。

その家が留守宅かどうかを見分けることの得意な連中がいとる。空き巣狙いや。

その空き巣狙いの手口が留守宅か、そうでないかを探る有効な手段になるのやが、それを話すのはまずいのやないかという気になるさかいな。

それもあり、ここでは勧誘する側だけの視点ではなく、防犯の観点からも言及してみたいと思う。

それには新聞勧誘員自身も他人事ではないからや。防犯に対する知識を知っておいて損はない。

独身者の勧誘員の場合、仕事中は当然のことながら留守をしているわけやから、空き巣狙いの被害に遭う可能性もあるわけやさかいな。

侵入する前に、7割超の空き巣狙いが侵入方法と逃走経路を把握するために入念な下調べをすると言われている。

その確認に、ワシら新聞勧誘員を装うケースが多いとのことや。つまり、新聞勧誘員の押すインターホンを無視して居留守を使うと、留守と疑われるかも知れんということやな。

そういう家は狙われやすく、結果として空き巣狙いが留守やと思い侵入し、住人と遭遇することで、居直り強盗に転じるケースも結構な比率であるようや。

せやから、多少面倒でもインターホンにはなるべく出られることを勧める。

スマホアプリの中には外出中でも、そのインターホンに応答することができるものもあるとのことやから、それを利用するのも手やと思う。

まあ、その場合はワシらの新聞勧誘はたいてい、断られることになるとは思うが、その方が新聞勧誘員にとっても有り難い。

留守宅やと確認するためには2、3度インターホンを押して待たなあかんさかい、すぐ応答してくれた方が、時間の節約、短縮にもなるさかいな。

その分、一軒でも多く他の家を叩くことができる。

その他には、電気や水道、ガスメーターの確認というのもある。これは検針員を装えば、庭の中であっても比較的容易に立ち入ることができる。

そして、それらしい格好と仕草をしていれば空き巣狙いと疑われることはまずないという。実際の空き巣狙いに、そういうのが多いと聞くさかいな。

水道やガスメーターは回っていなくても分かりにくいが、電気メーターの回り具合で留守か、そうでないかの見当がつきやすい。

留守の時は冷蔵庫の電気を使うとるくらいでメーターは、ゆっくりとしか回らんが、現在のように夏場(冬場でもほぼ同じ)なら、エアコンなしで室内には居辛いから、誰かが在宅していれば電気メーターの回転は半端やないくらい速いしな。

家族内で鍵の隠し場所を決めているというのもありがちやが、それも危ない。

ここで具体的には言えんが、鍵の隠し場所はパターンがほぼ決まっているさかい、比較的簡単に見つけやすい。

ワシら新聞勧誘員は、例えその隠し鍵を見つけても空き巣狙いやないさかい、「ああ、ここは留守やな」で済むが、空き巣狙いに、その鍵が見つかってしまえば大変やわな。

家の前とか玄関口などの外から見えやすい所にゴミを出し放しにしておくというのも留守宅と分かりやすい。

ゴミの収集日は、各自治体によって出す日が決まっているため、それには出せず、旅行などで家を数日空ける場合、仕方なく家の前や玄関口に出してしまう人がいる。

その場合、物置や倉庫があれば、その中に入れる、ない場合でも外から見えにくい場所に置いておくことを勧める。できれば旅行中は消臭処理をして家の中にでも入れておく方が無難や。

さらに日中、雨戸が閉まりっ放しの状態や玄関口や庭の手入れ、掃除が行き届いてない家も留守と見られる可能性が高い。

共稼ぎ世帯では、なかなか雨戸を開けておくとか、玄関口や庭の手入れや掃除をするというのは難しい面もあるさかい、その場合は、防犯カメラなどを設置しておくのも効果的や。

これはダミーでも構わんが、万が一の時には本物の方が犯人を特定して捕まえるにはええと思う。

一般的に、そこまで用心している家には空き巣も入らんということやさかい、ダミーであれ本物であれ、それなりに効果があるはずや。

ワシら新聞勧誘員は一般から不審者扱いされ、警察に通報されるというケースも希にある。

その場合、防犯カメラを設置している家を叩いたのを覚えていれば、「その防犯カメラを見て貰えば真っ当な勧誘行為をしていると分かるはずや」と言うて身の潔白を証明するのに都合もええしな。

新聞が溜まっているというのも留守と知られる最も多いケースや。

これは長期に旅行して留守にする際、新聞販売店に「休止依頼」をしていないからやが、例え2、3日でも留守にするのなら必ず新聞販売店に、「休止依頼」の連絡はしておいた方がええ。

郵便物の溜まり具合でも留守と分かる。特に、郵便や宅配便の不在者表が外から見えれば、致命的やさかいな。

洗濯物を夕方5時以降になっても取り込んでいない家も留守の確率が高いと見られる。

家の駐車場に車が停まっていない、自転車がないというのも、それがないと不便な地域についても留守と判断される材料になる。

現在、問題になっている放置空き家については一目瞭然に、それと分かるから説明するまでもないわな。

事ほどさように、外からその家の様子を見るだけで、ある程度、留守宅かどうかの判断ができるということや。

明らかに留守と分かる家は叩かんようにすれば、その分、時間の節約になる。

それが結構、バカにならん。

例えば、留守宅を叩く場合、インターホンを押して、しばらく待つという行為を2、3度繰り返すわけやが、その際、かかる時間が一軒当たり2分だとすれば、50軒の留守宅を叩けば単純計算で100分かかる計算になる。

実際には2時間くらい時間のロスが生じると考えといた方がええ。これは新聞勧誘員にとっては大きい。その時間のロスが防げるのなら、そうしといた方がええわな。

それに、こういうことを何年も続けていると、その家の前に立つだけで、留守か在宅しているかが分かるようにもなるしな。

もっとも、それについては多分に感覚的なものやさかい、どうすれは、それが分かるようになるとは言えんがな。

敢えて言えば、経験の積み重ねが、それと教えてくれるというところかな。
 

2.ドアオープンのためにできること。許されること。

繰り返すが、新聞勧誘にとって最も難しく、重要なのは『ドアを開けさせて話を聞いて貰えるようにすること』や。

インターホン越しにセールストークを駆使して、落とせれば、それに越したことはないが、それだけに頼っていたんでは残念ながら、新聞勧誘は厳しい。

よほどのことでもない限り、新聞勧誘と聞くだけで「結構です」と言って「インターホン・キック」しようと決めている人が多いさかいな。

それには、直接顔を合わせて話を聞いてしまうと断りきれない、断る自信のない人が多いからや。

それもあり、成約率を高めるのは直接の面談に持ち込むしかないというのは、この業界に携わる者の常識になっている。直接会って勧誘できれば成約できる確率も上がると。

そのためには、どうしたら良いのか。その方法を説明する。

例え、相手の客から姿は見えずとも満面の笑みを浮かべ、明るくほがらかな声のトーンで話すように心がけるだけで、ドアを開けて貰える確率がかなり違ってくる。

その際、「こんにちは(今晩は)、○○さん、○○新聞の者です。以前、お約束していた物をお持ちしました」と、はっきり言う。

特に『こんにちは(今晩は)、○○さん』の部分は大きめの声で、『○○新聞の者です』というのは流す感じでもええ。

そして、最後の『以前、お約束した物をお持ちしました』の部分をはっきりと言う。

しっかりした挨拶があるだけで、「この人は礼儀正しいな」と思うて貰えるし、名前を呼ぶことで親近感を与えられるさかいな。

『お約束の物』というのは、何も本当に約束していなくても良い。一方的な約束でも構わない。

ワシは、例え「インターホン・キック」されたとしても、最後には必ず「分かりました。それでは今回は帰ります。しかし、次回寄せて頂く際には、○○さんの気に入る条件とサービスを考えて来ますので、その折りには話を聞いてやってください」と言うておく。

たいていの客は、こう言えば「帰って貰える」ものと考えるさかい、それに対して否を唱えるケースは少ない。というか、そんな勧誘員の最後の言葉など耳に入ってないのが、普通や。

しかし、こう言うておけば、『以前、お約束した物をお持ちしました』と言うても嘘にはならん。

客の方でも「そうやったかな」と考えやすい。そのタイミングを逃さず、勧誘トークに持ち込むわけや。

インターホンを押すと同時にノックをするというのも効果がある。そのノックも中央より、やや下方を叩く。

下の方を叩くと、近所か知り合いの子供でも来たのかなと勘違いしてドアを開ける場合がある。

客の勘違いを誘うのは汚いやないかという意見があるかも知れんが、ノックをするのに下の方を叩いたらあかんという決まりはないから、法的にはセーフや。

もっとも、ひんしゅくを買う可能性はあるけどな。

せやから、ドアオープン後は、間髪入れず勧誘トークに全力を傾けるようにすることや。

どさくさに紛れてと言うと語弊があるが、少々のことはごまかすのも手やと思う。

目的は、あくまでもドアを開けさせることにあり、その後は、きちんとした勧誘をすれば特段問題はないと考えるさかいな。

その客のためになりそうなことがあれば、迷わず知らせる。そういうのは、それと気をつけていれば結構、いろいろ見つかるもんや。

具体的には、その家の洗濯物が風に吹かれて地面に落ちているというケースなんかが、そうや。

その場合、「奥さん、お宅の洗濯物が落ちてますよ」と、インターホン越しに知らせれば応答してドアを開けてくれる確率が高くなる。

開けてくれれば、相手には「親切な人」と思われるさかい、その後の勧誘が楽やわな。


3.自身のアピールポイントを強調する。

訪問販売の営業で商品を売り込む場合、その営業マンの存在が大きな要素となる。

同じ商品を売り込むのにも、良く売る者とあまり売れない者とに、はっきり色分けされる。

特に、新聞営業の場合、その差は歴然としたものになる。契約を上げている者は常にその数字を維持できるるが、できない者は、いつも成績が悪い。

その差は何か。それは、客に気に入られているか、どうかという点に尽きると思う。

欲しい商品やサービスであっても気に入らん営業マンからは買いたくないし、逆に、必要のない物でも、気に入った営業マンだとつい買ってしまう場合がある。

営業の場合、話術とかテクニックが重視されると考える者が多いようやが、それらはあまり大きな要素にはならん。

むしろ、話術やテクニックの稚拙な営業マンの方が成績がええということが結構多いもんなんや。

それよりも客に気に入って貰うことの方に神経を傾けることや。それが、契約をあげるための一番の近道になるとワシは思う。

どんな営業でも、自分自身を気に入って貰える客を多く確保している営業マンがその業界のトップに君臨しとるはずや。

新聞営業にも同じ事が言える。客に気に入られるには、まず自分自身をアピールせんとあかん。

そのためには、自分の武器となるものを、何でもええから探してみることや。それには自分がどんな人間かまず把握する必要がある。

風貌。雰囲気。性格。服装。社交性。特技。話術。経験。年齢。人生観。趣味。知識など、どんなことでも用い方次第で有効な武器になる。

自分の武器を探すと言うても、すぐには難しい問題やと思う。

ワシ自身について話すから、参考にできる部分があれば、そうして貰えればええ。

ワシの容姿風貌は殆どの人間に安心感を与える。これは、自己分析ではなく、今まで、多くの人間から得た評価や。昔から、人には信用されることが多かった。

他人からの評価は大きい。見かけは大きな武器になる。それを利用せん手はないわな。

「自分は人に信用されやすい」と思い込むことができる。

不思議なもので、そう思い込むと妙な自信めいたものが自然に生まれてくる。そして、その自信が人間を育てるとワシは思うとる。

ただ、人から信用を得やすい風貌、雰囲気を身につけることは、努力とか訓練で身につくもんやない。

いくら、そんな人間になれるよう目指そうとしても、もともとその資質のない者には無駄や。

心配せんでも、どんな人間にも必ず取り柄はある。長所も欠点もあるのが人間や。

そして、営業の武器とは長所ばかりを使うことやない。欠点も使い方によれば立派な武器となる。

武器は無数に存在する。問題はそれを見つけられるかどうかや。

それぞれが特有の武器を見つけて、それに合った独自の営業法を駆使すれば、トップ営業マンの道は近いと思う。


4.見切りの大切さ。

新聞勧誘の正否は最初の数秒で決まると言われている。

それを大きく左右するのが、見た目の第一印象や。

人には相性のようなものがある。俗に言う「虫が好かん」相手に対しては敬遠したくなるし、「ウマが合う」人間となら、いくら話しても苦にならん。

その相性の善し悪しは人によって大きく違う。

それは新聞勧誘員と客との関係についても言えることで、「ウマが合う」人間同士が出会えれば契約して貰える確率が高まるし、反対に「虫が好かん」相手なら、少々条件が良くても断るのが人間や。

今更な話やが、新聞勧誘に絶対というものはない。こうすれば絶対に契約が取れるというものもない。

ある新聞勧誘員と契約した客が、同じ新聞で同じ条件を提示した他の新聞勧誘員と契約するかと言えば、必ずしも、そうはならん。

そこに人間が介在する以上、どうしても相性の問題がつきまとうわけや。

その相性を少しでも良くするには、「客を持ち上げおだてる」、「客の言うことは否定しない」、「客の気分を害さない」といった勧誘方法がある。

基本的には「自分を殺す」ことが重要になるが、「虫が好かん」と第一印象で決めつけられると、それをひっくり返すのは、まず無理や。

営業は、よく粘ることやと教えられるが、いくら粘っても「虫が好かん」と思われてしまえば、どうにもならん。

人は好意を寄せてくる人間は敏感に、それと感じ取るが、反対に嫌う相手に対しても、それとすぐ分かる。

そのあたりの見極めについては難しいものがあるが、「これは脈がないな」と判断すれば、なるべく早めに切り上げることや。

少なくともワシは、そうしとる。

営業は、自分にとって簡単な相手を選んでするもので、難しい人間を落とすものやないというのが、ワシの考えやさかいな。

「いける」と思えるか、「こら、あかん」と感じ取るかで、押すか、あきらめるかすれば良いと。

もちろん、第一印象だけが、すべやないということもある。度々会っているうちに、うち解け懇意にして貰えるというケースもあるしな。

そのへんの見切りの付け方が重要やということやな。


最低限度、上記のことを分かって貰った上で『第379回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■続ゲンさんの新聞勧誘営業講座 その4 勧誘時に気をつけたい話し方』に進みたいと思う。

まあ、あんたが一番知りたいのは、これやろうがな。


新聞勧誘時に気をつけたい話し方


1.挨拶言葉は必ず最初に言う。

第一声は必ず挨拶から入らなあかん。新聞勧誘は、午後から動くことが多いさかい、「こんにちは」、「今晩は」が基本になる。

挨拶をするのは、当たり前のことで小学生でも知っている一般常識やとワシは思うていたが、これを省いている勧誘員が多いと知り、愕然としたことがある。

挨拶をせんでも特に問題はないと考えとるのなら大間違いやと言うとく。最初の挨拶もロクに言えん人間に、まともな営業などできるわけがない。

常識以前に挨拶をすることで得られるメリットが多いという事実を知らなあかん。

まず、大きな声で挨拶すれば、言っている者自身の気分が高揚する。気持ちが良くなる。少なくとも挨拶を交わした者の意気が下がることなどないはずや。

新聞勧誘員にとって、気分が高揚するか、どうかというのは重要な意味を持つ。それにより、その日の仕事の出来、不出来が左右されると言うても過言やないさかいな。

無理にでも大きな声で挨拶をするように心がければ、表情は自然と明るくなり、口調もしっかりしたものになってくる。

嫌なことがあって落ち込んでいても、大きな声で挨拶をしているうちに気分が晴れてくることも多い。

挨拶を続けていけば、気分も良くなり性格も明るくなると精神科の医師も言っている。医学的に証明されていると。挨拶にはネガティブな気持ちを吹き飛ばす力があると。

実際、落ち込んだ雰囲気の顔をして大きな声で挨拶をしている人間はおらんしな。

そして、何より一番の利点は笑顔になれるということや。新聞勧誘において笑顔になるというのは最も重要なことやと繰り返し言うとるが、その笑顔を挨拶一つで得られるというのやから、こんな便利なことはない。

人は挨拶を交わす際、無意識のうちに笑顔を作る習性がある。挨拶をしている人の顔の殆どが笑顔になっているはずや。不機嫌な顔で挨拶する者は、あまりおらんしな。

禅の世界に「心身一如」というのがある。これは「心と身体は一つ」という意味で、心と身体は密接につながっているという教えでもある。

人間誰でも気が滅入って落ち込むことがある。そんな時は、まずは表面、上っ面だけでもええから元気そうに振る舞うことや。

その方法は、それほど難しくない。挨拶言葉を言うだけでええ。

無理にでも人に対して挨拶をするように心がけていれば不思議と元気になっていくもんなんや。

挨拶をすることで笑顔が増え、気持ちも上向いてくるわけや。

また、挨拶をすることで相手からの印象が良くなり、人間関係も良くなるとワシは信じている。

挨拶をされた人が、その相手に対して悪く思うことは、まずない。なぜなら、挨拶を交わしてくるということは、相手がその人を認めている証でもあるさかいな。

人は他人から認められると嬉しいもんや。その気持ちが好意に変わる場合も多い。

例え、新聞を売り込む目的であったと知っていても挨拶されたことで気分を害する人が少ないのは、そうした心理的な要因があるからや。

逆に言えば、挨拶もなしに、いきなり勧誘を始めれば、「無礼な人間」というレッテルを貼って話を聞く気にすらならんということになる。

挨拶をきっかけに会話が始まる。これは人間の社会では普通にあることや。新聞勧誘は、その延長と考えればええ。

そして、挨拶をするのは難しいことやない。その気さえあれば、今すぐから誰にでも始められる。

それに挨拶は癖さえつけてしまえば、それと意識せんでも自然にできるという利点もあるしな。


2.客は名前で呼ぶ。

新聞勧誘では、挨拶の後は、必ず相手の名前を呼ぶことを心がけなあかん。

「こんにちは。○○さん」といった具合やな。

これも挨拶と似たようなところがあって、人は名前で呼ばれると呼んだ相手に親しみを感じ、認められたような気分になる。

勧誘員にとっても相手の客の名前を連呼することで、初めての人であっても昔からの知り合いのように感じてしまう場合が多い。

つまり、それだけでお互いの距離が一気に縮まるわけや。それを利用せん手はないわな。

そのためには客の名前を知らなあかんが、それはそれほど難しくはない。

まず表札を見る。表札に名前がなければ、新聞販売店にある住宅詳細地図を見れば、それに書いてある。

それもなければ、団地などの場合、入り口に名前を掲示した看板があるさかい、それで確認することができる。まあ、一般の一戸建て住宅で表札がない家は、まずないがな。

マンションやアパートなどの集合住宅の場合は、たまに表札を張り出してないケースもあるが、その場合でも一階の郵便入れに書いていることが多い。

それにもない場合は、直接、そこの住人に訊くしかないが、そういう人は誰かの訪問、特に勧誘員の訪問を嫌がって表札を出していないケースが多いからターゲットにするには難しいかも知れんがな。

表札に名前が出ていた場合、その名前が一般的なものやったら、それほど問題ないが、珍しい名前、読みにくい名前の場合は、よく確かめてから声をかけることや。

名前を呼ぶのはええが、間違った名前で呼ぶと気を悪くする人もいて、却って逆効果になる場合もあるさかい気をつけなあかんで。

例えば、これはワシが実際に経験したことやが、「御手洗」、「下水流」という表札を掲げていた家があった。

ワシは、建築会社の営業をしていた頃から、人名辞典を常に携帯していたし、勉強もしていたから、「御手洗」は「みたらい」、「下水流」が「しもずる」と知っていたが、知らない人は呼びにくい名前やと思う。

知らずに「おてあらい」、「げすいりゅう」などとストレートに呼んでしもうたら終いや。失礼、ここに極まるということになる。

それを避けるには、ワシのように人名辞典を持ち歩くか、今の時代なら携帯電話でネットの人名辞書サイトにアクセスして調べればええ。

ただ、名前には「東」のように、「ひがし」と読むのか「あずま」と呼べば良いのか分からないケースがある。

こればかりは人名辞典やネットの辞書で調べても、どうにもならん。両方の呼び方が表示されとるだけやさかいな。

こういう場合は、その家は後回しにして隣近所で、それとなく訊くというのも手や。あるいは、その近くの商店で尋ねるという方法もある。

最初に名前を呼ぶ場合は、間違いは致命的やというくらいに考えて十分調べてから呼びかけることや。

中には、間違われることに慣れた人もいて寛大な態度で接してくれることもあるが、それを期待するべきやない。


3.ご用聞き的な物言いは避ける。

「○○新聞を取って貰えませんか」、「○○新聞を購読するつもりはありませんか」といった具合に、いきなりインターホンに向かって訊く者がいとるが、それは止めておいた方がええ。

客の答えを待つような声かけをすれば、返ってくる言葉は「ノー」以外にはないからや。

「○○新聞を取って貰えませんか」と言われれば、「嫌です」。「○○新聞を購読するつもりはありませんか」なら「ありません」という返事がしやすいさかいな。

「どこの新聞を読んでおられるのでしょうか」というのも、まずい。「言いたくありません」とニベもない返答をされるのがオチや。

そう言われると次の言葉に窮するやろうと思う。

新聞勧誘の場合、大半の人は、それと知ると、どうして断ろうかと考えるケースが多い。

そんな時、断りやすい声かけ、質問をすれば、まさに渡りに船ということになるわな。

また、勧誘員の方も、そんな聞き方をした手前、「そこを何とか」というのも言いにくいし、言ったところで取り合っては貰えない。

新聞勧誘員に、ご用聞き営業は向かない。そう心しとく必要がある。

それなら、どう言えば良いのか。

「○○新聞を取って貰えませんか」と言うのなら、「○○新聞を取ってください」。「○○新聞を購読するつもりはありませんか」なら、「○○新聞を購読してください」と、ストレートに言う方が、まだマシや。

これなら、即座に「嫌です」という返事を返しにくい。たいていは、「どうして?」という質問系の言葉が返ってくる。

これに対しては、「○○新聞を取ると得をしますよ」と言って次のトークが繰り出せる。

勧誘トークは常に次の言葉を出しやすい状況に持っていかなあかん。そうすれば相手に考える余裕を与えず客を自分のペースに嵌めることができる。

勧誘員のご用聞き調のトークは、すぐに終わってしまうので頂けんが、客からの質問は、いくらでも話を膨らませていけるさかい歓迎できるというところやな。


4.クッション言葉は省かない。

クッション言葉というのは、相手に何かを頼んだり願い事をしたりする場合、補助的に使う言葉のことや。

ビジネス上、特に営業をする上において知っておいて損のない言葉やと思う。

上手く使いこなせることができれば、相手に好印象を与えることができ、役に立つはずや。

クッション言葉には「恐れ入りますが」、「失礼ですが」、「早速ですが」、「もし、よろしければ 」、「お忙しいとは思いますが」、「ご面倒をおかけいたしますが」といった具合に、いろいろある。

具体的な例で言えば、「こんにちは、○○さん、大変お忙しいところ、まことに申し訳ありませんが」と用件の前にクッション言葉を添えると、相手に対して謙(へりくだ)った気持ちを伝えることができ、与える印象が格段に上がるさかい、言われた方も無下に断ることができにくくなる。

ちょっとしたことやが、そのちょっとしたことが勧誘営業では大きな差となって表れてくるのやと知っておくことや。


5.相手のしていることを否定するような物言いや反論はしない。

よく「あなたの購読している○○新聞はロクでもないから止めておいた方が良い」とか「そんな新聞を読んでいると変に思われますよ」という勧誘トークをする者がいとるようやが、それはあかん。

特に新聞勧誘員から、そう言われるとたいていの客は反発したくなるさかいな。

去年、A新聞が誤報騒ぎで一時、他紙の勧誘員から、そういった中傷を受けていたということやが、それで、その勧誘員が勧めた新聞の契約をしたケースは少なかったと聞く。

勧誘員の中には、相手の弱みを見つけて、そこを攻撃するのも戦法の一つと考えとる者がいとるようやが、実際には、あまり効果のないやり方やと言うしかない。

自分のしていることを頭から否定されるのを嫌がる人は多い。そして、自分を否定する人間に好感を持つことは、まずない。

それどころか胡散臭い人間やと思われるのがオチや。

その客が、今までその新聞を購読しているのは、それなりの理由がある。

自分の勧める新聞が素晴らしいと説くのは構わん。しかし、そのために、その客が現在購読している新聞を貶(けな)すようなことを言うと、その客は自分を否定されたように感じてしまう。

ケチをつけられたと思うわけやな。そう思われてしまうと、そこで終わってしまう。間違いなく聞く耳を持たん状態になるさかいな。

客の言うことに反論するのも、あかん。例え、どれほど自身が正しいと考えとってもや。

反論すれば口論に発展し、ヘタをすると喧嘩になる場合もある。そんな相手が契約することなど、まずないわな。

新聞勧誘員は、客から契約を取って、初めて勝利したと言える。契約をして貰えなければ何を言うても負けや。

当たり前やが、新聞勧誘員は契約をして貰うために叩いて(訪問)いるわけで、議論に勝つために仕事をしているわけやないさかいな。

中には「あんた、よくそんなクソみたいな新聞の勧誘をしているな」と言う客がいとるが、そう言われるとカチンとくるやろうと思う。腹が立つのも分かる。

しかし、それでも反論はせん方がええ。口論するだけ時間の無駄や。得るものは何もないし、そんな事を言う相手を議論で翻意させるのは、まず無理やさかいな。

それに何より、そうすることで気が滅入ってしまう。勧誘の仕事は、なるべく気持ちを楽にしとかなあかん。

ただ、そういう人と話さなあかんようになった場合は、不本意ではあっても、相手の言う事には逆らわんことや。逆に受け流すことができればベストやと思う。

「あんた、よくそんなクソみたいな新聞の勧誘をしているな」と言われても、「そうなんですよ。自分でも何で、こんな仕事をしているのか分からないんです」と言うわけや。

すると、反論するとばかり思っていた相手は意表を衝かれる。そこをすかさず、「何か他に良い仕事はありませんかね」と言えば話に乗って来ないとも限らんしな。

新聞勧誘に極意というようなものがあるとすれば、相手をこちらの話に乗せて、気分を良くしてから落とすことやと、ワシは考えとる。

極端なことを言えば、新聞勧誘中は自分を殺すことや。どんな意見も封印するくらいが、ちょうどええと思う。


6.感謝の言葉を言う。

新聞勧誘は、相手の都合を無視して一方的に押し掛ける仕事や。歓迎されることは、まずない。

その気持ちがあれば、話を聞いて貰えるだけでも感謝せなあかん。感謝は、そのままストレートに言葉にして伝える。

「お忙しいところ、お時間を取って頂き、まことにありがとうございます」と言えば、渋々ながらでも話くらい聞いてみるかとなる可能性が高い。

会話の最中、ちょっとしたことでも感謝の言葉を言えるようであれば迷わず言う。

例えば「こんな雨の日に大変ね」と言われれば、「お気を遣って頂き、ありがとうございます」と返すといった具合やな。

感謝されて気分を害する人はいない。感謝した相手に好感を持つのが普通や。

せやから、例え相手が本気でそう思っているわけではないと感じたとしても感謝の言葉を述べとく方がええ。


7.専門用語は、なるべく使わない。

業界の人間にとっては当たり前の言葉でも、そうでない人にとっては嫌な思いになるケースがある。

特に業界用語に、それが多い。

新聞業界において「叩く」というのは単に訪問するという程度の意味でしかないから業界人は普通に使うが、客がそれを聞くと、たいていの場合、暴力的だと感じるという。

長期契約を意味する「縛る」も同じで、無差別に訪問する「鉄砲を撃つ」というのも似たようなところがある。

中には、契約を「あげる」と言うだけで、「俺たちは天ぷらか」と反発する人もいとるという。

新聞勧誘営業に限らず、その業界にどっぷり浸かっている者は、つい業界用語を使いたくなるもんやが、それは仲間内だけに止めて、外部には漏らさん方がええ。


と、ここまでのことを理解して実践することができれば、かなりの域に達したと言えるが、さらに上を目指すのなら、『第107回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■2010年からの新聞営業講座……その6 お世辞トーク集』というのがあると知っておいて欲しい。

ここでは「お世辞トーク集」と銘打っているが、そもそも営業的な考えから、お世辞が生まれたと言える。これも、あんたが望んでいるものやと思うので、最後に話しておく。


新聞営業における、お世辞トーク集


1.主婦に受けやすいお世辞トーク

【ステキなお住まいですね】

新築、および比較的新しい一戸建ての住宅の場合、こう言っておけば嫌がられることはまずない。

比較的古そうな家なら、【味わいのあるお宅ですね】と言うておけばええ。

他にも大きい家なら【立派なお宅ですね】。

庭が広ければ【お手入れが行き届いていますね】。

玄関を褒めるのなら【落ち着いた玄関ですね】、【綺麗な玄関ですね】。

花壇や植木があれば、【美しいお花ですね】、【立派な植木ですね】。

他にも気づくことがあれば、どんなことでもええから、それについても褒(ほ)めておく。

特に、外壁塗装して日が経っていない、カーポートを新設したばかり、屋根瓦を取り替えた、といったことが分かるような家の場合、それについて褒めるのは効果的やと知ってほしい。

そういう家の主は、ほとんどが住宅リフォームの営業員に勧誘されてとか、見栄っぱりな性格というのが多く、お世辞トークに弱いという傾向にあると。

あるいは、多少、周りとの調和が取れていない「奇抜な感じの家」の場合も、この【ステキなお住まいですね】というトークは結構活きる。

人から、そう言うてほしいがために、敢えて、その選択をしとるというケースが多いさかいな。

要は目立ちたがりなわけや。目立ちたがりな人間は「おだて」、「お世辞」に弱い。


【いい香りがしますね】

その家の玄関に入る、もしくは覗ける位置で応対して貰うたら、こう言うとく。もちろん、【いい匂いがしますね】でもええ。

たいていの家では、玄関口とトイレの臭いには気を使っている所が多いから、このトークは結構活きる。相手が主婦なら尚更や。

他にも下駄箱の上の花瓶やその中の花、置物、壁の絵などのように褒められる物はなんでも褒める。

玄関口は、その家の顔で気を使う場所や。そこにあるものを、さりげなく誉めるという癖をつけといて損はないと思う。

ワシの経験でも、何気なく誉めた花が、実はその家の人にとっては思い出深いもんやということがあった。

そんな場合、その人はその話をしたがってる場合が多いから、こちらは黙ってその客の話を聞くようにしたらええ。

話すばかりが営業やない。客の話を聞くのも立派な営業やさかいな。

その他にも、壁の絵がその家の家人の作品やったり、有名人から貰ったものやったり、高価なものだったりという場合も結構ある。

置物のような飾り物にしても同じことが言える。

そういう場合、それをさりげなく誉められたら誰でも悪い気はせんはずや。

というか、それに気づいてほしいという心理が込められとる場合が結構多い。


【かわいい、お子さんですね】

3歳くらいまでの小さな子供がいれば、こう言っておけば間違いはない。

人の親であれば、誰でも自分の子供を褒められて悪い気はせんさかいな。

他にも【お人形さんみたいですね】、【今が一番かわいいときですね】と言うのもええ。

これが幼稚園児くらいになると、例え小憎たらしい子供であっても【とても元気のいい活発なお子さんですね】と言うておけば間違いない。

大人しい、人見知りのする子供なら、【礼儀正しいお子さんですね】など、と言うておけば無難やと思う。

また、主婦だけやなく、その祖父母が出て来た場合には、【おじいさま(おばあさま)によく似ておられますね】と付け加えるのも効果的や。必ず喜ばれる。


【魅力的ですね】

こんな歯の浮いたような台詞(せりふ)でも喜ばれるケースが多い。

これが独身で容姿に自信を持っていれば、そう言い寄る男も多いやろうが、家庭に引きこもった主婦は、そう言われることが少ないから、インパクトとしては結構強いわけや。

十人並みに見える女性は、ほぼ間違いなく、過去、自身にそれなりの自信を持っていた人が多い。

そういう主婦は容姿をさりげなく褒められると弱い。

他にも【品がおありですね】、【笑顔がとてもステキですね】などが効果的な褒め言葉になる。

顔立ち、手足、スタイルなど褒めやすいところは、すかさず褒めとく。

その訪問先が二度め以上の場合で、その主婦の容姿を褒めるのなら必ず【いつも】というフレーズを付け加えておくのを忘れんことや。

【いつも魅力的な方ですね】、【いつも品がおありですね】、【いつもお若いですね】、【いつも笑顔がとてもステキですね】といった具合に。

これを【今日はとても魅力的ですね】と言うた場合、本人は褒めたつもりでも、「今日は例外的に魅力的なのか」という、ひねくれた受け取り方をする主婦もいとるさかいな。

褒め言葉と言えども、細心の注意が必要になる。


2.旦那に受けやすいお世辞トーク

【それは、すごいですね】

ワシは、拡張する際には必ず雑談から入るわけやが、そのポイントとしては、なるべく、相手の意見を引き出させやすい話題を振るようにしとる。

それもなるべく旬な話題の方が効果が高いと考えてそうする。

年輩の旦那なら「相撲協会の野球賭博をどう思われます?」と水を向ければ、「とんでもないことや」と、憤りを見せ、それについて批判めいたことを言うケースが多い。

たいていは、新聞やテレビの受け売りを、そのまま言うてるだけなんやが、そういう場合は、それと分かっていても反論せず、うなずき納得したという素振りで【なるほど、いやー、ご主人の見識はすごいですね】と感心して見せる。

ついでに、【ご主人と同じようなことを、本日の当社の新聞紙面で解説委員も言ってましたが、ご主人の見識は、まさにプロ級ですね】とでも言えば、その新聞を勧誘する糸口にもなる。

これが、比較的若い旦那なら、現在、開催中のサッカーのワールドカップに因んだ話題を振るのでもええ。

「今回の南アフリカ大会は有力チームが苦戦していますね。特に前回の優勝チームのイタリアや準優勝チームのフランスなどは予選で敗退しましたからね」と向ける。

すると、ちょっと興味のある人間なら、「イタリアはともかく、フランスの場合、あれだけ、監督やコーチおよび選手間の亀裂が激しくてチームワークが崩壊してたら当然だ。しかも、その選手のバックには、あの有名なジダンが選手側についていたというから、選手は誰も監督やコーチの言うことなんか聞かないよ」と言うケースも考えられる。

これも報道の受け売りなんやが、【へえー、そうなんですか。よくご存知で、すごいですね】と、何も知らん素振りで感心して見せる。

「まったく知りませんでした」、「驚きました」と。

さらに、参議院選挙が公示されたという話題を向けた場合、選挙に関心の高い旦那さんなら、熱弁を振るうこともある。

そんな場合、どんな意見であっても、【なるほど、そうだったんですか。大変勉強になりました】と、そう迎合しとく。

「お世辞トーク」に反論は禁物やさかいな。営業の場では、すべてを是とせなあかん。自分の意見は殺す。それが絶対の条件になると心得とくことや。

中には有名人と会った、知り合いやと吹聴する者もいとる。

そんなときにも、この【へえー、そうなんですか。すごいですね】と大袈裟に驚いて見せ、その話をさせるように仕向ける。

会社の役員や重役など肩書きを自慢げに披露する人間も、そのお世辞トークには極端に弱いから、ただひたすら褒めちぎることや。

つまり、その旦那が自慢したいことは何でも褒めとけば間違いないということやな。

その際、【すごい】の他に、【さすが】、【見事なご意見です】、【素晴らしい】、【参りました】、【頭が下がります】などと、タイミングを見計らって褒め言葉、ヨイショのかけ声を変えるというのも手や。

【すごい、すごい】の連発だけやと、どこか白々しく小バカにしたようにも聞こえ、逆効果になりかねんさかいな。心しとくことや。


3.若者に受けやすいお世辞トーク

拡張で気をつけなあかんのが、「上から目線」というやつや。

特に若い人はこれを嫌う。

営業というのは、今更言うまでもなく物を売る仕事や。

「買ってください」とお願いするのに、「兄ちゃん取ったれや」というのは本来あり得ん、あってはならんことやが、この業界には、なぜかそうしたことが平然と行われてきた。

「学生や若い人間は脅すに限る」といったような言葉を公然と吐く者も珍しいことなかったさかいな。

拡張員、専業を問わず、そういうアホな認識を持っていた者もおったと。勘違いも甚(はなは)だしいと。

いくら相手が若くてもお客さんになって貰うことには変わりはない。拡張、勧誘というのは、そのための「お願い事」なわけや。

年長者が、若い人に対して優位、上から目線で話してもええのは、その若い人を教え導く立場にある、またはその若い人自身がそう願う場合くらいなものや。

単に長生きしとるから目上やと考えるのは愚の骨頂、アホとしか言いようがない。

お互いの立場というのは、お願いする方が下で、お願いされる側が上と相場が決まっとる。

特に営業の世界では、これは絶対的なことやと認識しとかなあかん。

その基本を心得ていたら、この若い人に対しても、先に言うた『2.旦那に受けやすいお世辞トーク』のケースと大差ないということが理解できると思う。

それが分かれば、後はその立場を褒めるようにすればええだけのことやと。

【頑張っておられますね】

学生さんであれ、仕事をしている若い人であれ、こう言うとけば、まず間違いない。

学生さんで有名大学校に通っていれば、【まさに、あなたは日本の頭脳ですよ】、【将来、さぞかし名の通った立派な人になられるんでしょうね】と、おだて上げる。

それほどでもない大学に通っていても、褒められる部分があれば、それを褒める。

褒めるべきことがなさそうでも、【あなたのような聡明な学生さんもおられるのですね】と言うておけばええ。特別なのやとアピールする。

その上で【そんなあたにこそ、当社の新聞を読まれるべきです。必ずお役に立てるはずですから】と勧誘する。

有名大学校の教授、講師の中には、未だに新聞紙面を使っての講義というのが多いと聞くさかい、その事実を調べて、そう説得すれば効果的やと思う。

また、就職活動をしている学生さんなら、一流企業の面接官が、その新聞紙面を参考に面接試験の内容を作成しとると言うてもええ。

これは間違いでもウソでもないさかいな。

大学の教授、講師にしても、一流企業の面接官にしても、新聞記事を引用する方が、いろんな面で手っ取り早く自分たちの手間も省けると考えて、そうするケースが多いというから、それを強調するわけや。

新聞がそういった試験の最も有効な参考書、資料になると。


4.高齢者に受けやすい、お世辞トーク

【何でもよくご存知ですね】

高齢者には、こう言って褒めておけば間違いは少ない。

勧誘する者と歳が離れていればいるほど、それが単なる「お世辞」にはならんようになる。

また、高齢者ほど、「昔は良かった」という話をしたがる傾向があるから、嫌な素振りを見せずに、【すごい経験をされてますね】、【さすが博識でいらっしゃる】、【そんなことはまったく知りませんでした】と感心して見せるのも手や。

高齢者に対しては無理に売り込もうとしなくても、話し相手になるだけで、かなり効果が上がる場合が多い。

特に今は独り暮らしの高齢者が多く、新聞の勧誘員というのは結構、身近な存在になっとるということもあるしな。

ただ、高齢者への勧誘は何かと批判の対象になりやすいさかい注意しとく必要はあるがな。

現在、悪質な訪問業者が高齢者を騙して多額の商品を売りつけるという事例や犯罪などが頻発しとるさかい、よけいや。

新聞勧誘にしても、耳の良く聞こえない高齢者、目の見えにくくなった高齢者への強引な勧誘が行われているケースもあると聞くしな。

嫌がっているにも関わらず、騙すようなやり方で契約をさせるという事案もあると。

サイトのQ&Aへの相談も時折、その類のものが寄せられてくることもある。

もっとも、悪質で違法性の高いと思われるケースに対しては積極的に、その対処方法をアドバイスしとるがな。

そういう輩は絶対に許せんさかいな。

しかし、中には、新聞を必要やないと考える息子さんや娘さんから、その高齢者である親御さんの意志とは別に、新聞そのものが勧誘されて困るという相談をされるケースもある。

そんな場合は、まずその親御さんの気持ち、意志を第一に考えてあげてほしいと言うてる。

そこには、世代間の価値観の違いというのがあるからと。

インターネットに比重を置いた人から見ると、金を出して新聞を講読するという行為が、何かとてつもない無駄のように思える。

しかし、新聞が近くにあって当たり前という時代を長く生きてきた高齢者にとっては、それを読む読まないに関係なく、ないと困るという人が多いということを知ってしてほしいと思う。

新聞が、そこにあるだけで落ち着くのやと。

その価値を決めるのは、あくまでもその本人で、例え身内といえども、その干渉はするべきやない。

どんなに傍(はた)から意味のないように思える物でも、その当人にとって大事な物は世の中にはいくらでもあるさかいな。

それと同じことやと理解してほしいと。


5.商店主、及び会社経営者、責任者に受けやすい、お世辞トーク

【さすが、お目が高い】

商店主、及び会社経営者、責任者というのは、ある意味、営業のプロでもあるから、通り一遍の褒め言葉で落とすのは難しい。

これでもか、これでもかというくらい徹底した方がええ。それには【さすが】と言うのがポイントになる。

この【さすが】というのは、相手の自尊心をくすぐるには格好の言葉やさかいな。

【さすが、目のつけどころが違いますね】、【さすがは社長さん】、【さすがに、ご賢明な判断をされますね】、【さすが、私どもとは偉い違いです】、【さすがは研究熱心ですね】など、いくらでも使うことができる。

また、その相手次第では【努力が結果になって表れていますね】、【すごい行動力ですね】【フットワークが軽いですね】、【大変なご活躍ですね】などと言うのも効果的な場合がある。


今のあんたに言えるのは、こんなもんやが、これらはホンの初歩的なことで、知るべきことは他にいくらでもある。もっと詳しく知りたいのであれば、先に紹介して挙げたページなり、サイト、メルマガなりをよく見て頂ければ分かって貰えるものと思う。


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