メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第429回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2016. 8.26


■報道の危機……その8 失われた報道の自由は取り戻せるのか?


前回のメルマガでは近年の日本において、報道の自由が失われつつあるという現実について多くの事例を示して言及した。

今回は、その続きで、どうすれば失われつつある報道の自由が取り戻せるのか、担保できるのかを探っていきたいと思う。

当然やが、報道の自由がなくなれば新聞の存在意義そのものが損なわれる。

新聞の存在意義が失われるということは、そのまま新聞の不要論に発展し、購読者数の減退に繋がる。

ここ数年の急激な部数減の進行には、少なからず、その事が影響しているのは、ほぼ間違いないと思う。

事は深刻かつ緊急を要する事態やと言える。このまま手を拱(こまね)いていれば確実に今後も新聞は凋落の一途を辿り、いずれ衰退、消滅の危機に陥るものと推測される。

業界の端くれで飯を食っている者としては、それだけは何としても避けて欲しいと思うが、残念ながら、ワシらにできることは少ない。

せいぜい、ここで警告を発することくらいや。それでも何もせんよりマシやとは思うとるがな。

前回、国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)が毎年発表している「報道の自由度ランキング」で、日本は2010年には11位だったものが、年々順位を下げ、2014年59位、2015年61位、そして今年、2016年には72位にまで転落していると知らせた。

僅か5、6年の間に、そうなったと。

転機は、民主党政権から自公政権に以降した時点からや。実際、民主党政権時の「報道の自由度ランキング」は毎年、10位前後を推移していたさかいな。

それが、現、自公政権になった途端、72位まで転落している。

このことが意味するのは明白や。現、自公政権下では報道の自由はないと。少なくとも国際NGO「国境なき記者団」では、そう評価されている。

何かと問題の多いとされていた民主党政権やったが、それが悪評として国民の間に広まったのは取りも直さず、日本に報道の自由が担保されていたからやとも言える。

そのため、新聞やテレビメディアは、ありもしない事件まで好き放題に取り上げ、民主党政権を叩くことができたし、またそうしてきた。

その典型的な例が、当時の民主党の実力者、小沢一郎氏に「政治資金収支報告虚偽記載」に関与した疑いがあるとして、新聞紙面で叩きまくった件やったと思う。

その経緯については、『第100回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の実像 その3  新聞業界、それぞれの使命とは』、『第118回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■民主党代表選挙報道のあり方について』、

『第120回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■暴かれた「自白調書」のカラクリと検察への信用失墜について』、『第123回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■検察審査会制度の是非について』、『第203回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞とは何か その1 報道の裏側に見え隠れするもの』(注1.巻末参考ページ参照)の中で詳しく話しているので見て頂ければと思う。

小沢一郎氏の事件に関しては、周知のとおり最終的に2012年11月12日、二審の東京高裁で一審の東京地裁同様「無罪判決」が出て冤罪だったことが確定している。

当時の報道には、


http://www.jiji.com/jc/zc?k=201211/2012111200173&rel=y&g=soc より引用

小沢代表、二審も無罪=元秘書の故意も一部否定−指定弁護士の控訴棄却・陸山会事件


 資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(収支報告書の虚偽記載)罪に問われた元民主党代表で「国民の生活が第一」代表の小沢一郎被告(70)の控訴審判決が12日、東京高裁であり、小川正持裁判長は一審東京地裁の無罪判決を支持し、検察官役の指定弁護士の控訴を棄却した。元秘書による故意の虚偽記載も一部を否定した。

 指定弁護士は今後、上告を検討するが、認められるのは判決に憲法違反がある場合などに限られるため、困難が予想される。上告しなければ無罪が確定する。

 一審に続く無罪判決は、次期衆院選で「第三極」の結集を目指す小沢代表の追い風となりそうだ。

 国会議員への判決で、一、二審ともに無罪とされたのは極めて異例。検察審査会の起訴議決に基づく強制起訴事件で、初の控訴審判決だった。

 小沢代表が、土地購入代金を2004年分の収支報告書に計上せず先送りし、提供した4億円を簿外で処理することについて、違法性を認識していたかが争点だった。


とある。

そもそも、この裁判は裁判になること自体が摩訶不思議な出来事やったと言える。本来、起こせるはずのない裁判が丸2年以上に渡り、延々と繰り広げられたわけやさかいな。

この記事では『小沢代表が、土地購入代金を2004年分の収支報告書に計上せず先送りし、提供した4億円を簿外で処理することについて、違法性を認識していたかが争点だった』という書き方をして読む人に、本人が違法性を認識していなかったから無罪になっただけで違法性が高いと印象づけているが、それは違う。

この裁判で問題になった『政治資金規正法』には、政治資金が流れた事実をどのように政治資金収支報告書に記載しなければならないのかという会計上の決まりがないのである。

なぜなら、現行の政治資金収支報告書では、単式簿記を前提とした部分的な会計報告書の作成が義務付けられているに過ぎないからや。

つまり、簿外処理そのものは『政治資金規正法』で違法とされとるものではないということになる。

違法でないものをなぜ違法にしようとしたのかと言えば、その奥に汚職疑惑があったと検察が考えていたからや。

言わば、無理矢理なこじつけによる別件捜査やったわけやな。

捜査する口実さえ作って調べれば必ず尻尾を掴むことが出るものと信じて、そうした。検察や警察の良くやる手口や。

しかし、実際には検察が総力を上げて捜査したにもかかわらず、その事実は何も出なかった。逆に小沢氏の無実が証明された形になっただけで終わった。

ただ何もないでは検察も格好がつかんから、取り敢えず検察自身にも判断できんかった『政治資金規正法違反』という、その当時としては一見それらしく見える罪で起訴しようというポーズを取った。

もちろん、そんな罪名で公判を維持できるわけなどないというのは百も承知した上でのことや。そのため、検察は予定どおり不起訴処分にした。苦渋の選択を装って。

しかし、小沢氏を悪人にすれば世論も味方するやろうという穿った考えのもとに匿名の市民団体(実は、たった一人)とやらが検察審議会に不服の申し立てをした。

それに小沢氏を陥れたい勢力が荷担したことにより、不正とも思われる数々の手段を用いて強制起訴にまでこぎつけたのである。

どこからどう見ても、その検察審議会のメンバーそのものが不正に集められた連中としか考えられんかったさかいな。

小学館発行の2010年10月22日号の「週間ポスト」誌に、


今回の小沢起訴を議決した審査員は11人いるが、その平均年齢は30.9歳だったとされる。

有権者から「くじ」で選ばれることになっているが、有権者の平均年齢は約52歳。

この大きな差から、「本当にくじで選ばれている」のかという疑問が湧いている。

本誌はそのような偏りが生じる確率を求めた。

東京都の年齢層別の人口をもとに、多摩大学経済情報学部・統計分析グループの助力を得て、「くじで選んだ11人の平均年齢が、30.9歳以下になる確率」を計算したのである。

結果は、「0.005%」。70歳以上は審査員を断れる制度があるから、70歳未満の都民だけを母数にしても「0.075%」。

さらに驚くべきは、1回目の議決をした審査員の平均年齢も34.3歳(2回目とは全員が別人)。

平均年齢がこれ以下になる確率(母数70歳未満限定)は、「0.89%」で、両方が続けて起きる確率になると、「0.00067%」、つまり「100万回くじを実施すれば7回起きる」という“奇跡”だったことになる。

これは本当に偶然なのだろうか。


という記事が掲載されている。

その記事の内容を含めて、あらゆるデータを検証した結果、初めから「強制起訴議決決定」ありきのメンバー構成やったのは、ほぼ間違いないものとワシらは考えている。

それに荷担したのは新聞、テレビメディアやった。

ワシらのような素人でさえ、明らかにおかしいと思えるのに、その矛盾点を無視して徹底的に小沢叩きに奔走したのである。

ワシが、そこまで言うのは確固たる証拠、及びそうとしか考えられない状況があるからや。しかも、それらの証拠はその気になれば誰にでも探し出せる。

それについては上記のメルマガ(注1.巻末参考ページ参照)の幾つかを見て頂ければ良く分かって頂けるものと思う。

つまり、ワシが言いたいのは、裁判を起こした、あるいはそれをけしかけ煽った大半の者たちが、小沢氏が無罪になる事など先刻承知の上で行ったという事実や。

罪になるかどうかに関係がなく、ただ裁判をするということだけが狙いのすべてやったように思う。

その狙いは一つ。小沢一郎という政治家を政界から抹殺するために。あるいは人気を落とすだけのために。

それ以外での理由がワシらには考えられん。

それが事の真相である。多くの人は、その事実を未だに知らない、いや知らされていないと言うた方がええ。それも報道の自由の一つやと考えればの話やがな。

事の是非はともかく、当時は、それでも許された。

ところが今は違う。政権や政府有力者に対する批判記事は許されないという空気に支配されている。

現在の自民党政権は、僅かな批判であっても新聞やテレビ局に対して強引とも言える圧力をかけているのが、その根拠や。

それについては前回のメルマガの中で、

▼<テレ朝>古賀氏降板問題 「圧力」か「暴走」か 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150406-00000005-mai-soci

▼強まる「政治圧力」 自民、テレ朝とNHK聴取 報道萎縮の懸念
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150418-00010001-doshin-pol

▼自民党:安保法案で報道批判続出…改憲派の勉強会
http://mainichi.jp/select/news/20150626k0000m010122000c.html

▼安倍政権批判の文言入り文具、有無を調査 北海道の学校
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151017-00000007-asahi-soci

▼高市総務相、電波停止に言及 公平欠ける放送に「判断」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160208-00000059-asahi-pol

といった報道記事を引用して説明した。

これらの事が、民主党から自公政権に移行後、僅か数年で、「報道の自由度ランキング」が11位から一気に72位にまで転落した大きな要因になったものと思われる。

まあ、報道規制に近いことを公然と、しかも短期間の間にやっているわけやから、「報道の自由度ランキング」が低下するのも無理はないがな。

もちろん、それだけが原因やない。新聞やテレビメディア側にも、それなりの要因がある。因縁と言うてもええかも知れん。

なぜ、民主党時代の小沢一郎氏が、冤罪とも言える事案で2年以上に渡り、新聞やテレビで叩かれ続けたのか?

その理由は、『第209回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の実像 その6 新聞第3のタブー、記者クラブ問題について』(注2.巻末参考ページ参照)でも詳しく話したが、記者クラブというものが存在していたからや。

新聞やテレビメディアは20年以上の長きに渡り、ずっと小沢氏個人を叩き続けてきた。

記者クラブとは、公的機関や業界団体などの各組織から継続的に取材することを目的に大手新聞、テレビメディアを中心に、法人としての登記が為されていない私的な組織のことを指す。

加盟社以外に記者会見を開放しないなど独占的な活動によって、記者クラブ以外のジャーナリストによる取材活動が差別、制限されてきたという実態がある。

これに異を唱えた、当時の自民党幹事長だった小沢氏は1991年、記者クラブメディア以外の記者も参加できる記者会見のオープン化を初めて行った。

会見を記者クラブだけに限定し、情報を独占することは、民主主義の公平性のルールから完全に逸脱しているというのが、小沢氏の主張であった。

正論である。

しかし、その正論を大手新聞、テレビメディアは快く思わなかった。なぜなら、それは記者クラブ廃止につながりかねない暴挙だと考えたからや。許せることではないと。

本音のところでは記者クラブという権益を守りたかっただけなのやとは思うがな。

それから以降、あからさまに小沢氏に対し、記者クラブメディアは徹底的に攻撃を仕掛けている。

具体的には、小沢氏の不機嫌な表情ばかりを選んで映像で流したり、小沢氏の反論や主張は一切掲載せずに不都合な情報だけを流し続けるたりするような真似を繰り返してきたことが、それや。

件(くだん)の『陸山会政治資金規正法違反裁判』報道も、その延長線上にあったと考えれば納得される方も多いのやないかと思う。

ワシらのような素人が、ちょっと調べても分かるような事を、さもその罪で起訴されたのは当然やという報道が繰り返し流されるという異様な事態が続いたわけや。

当時、小沢氏の側に立った報道は皆無やったと言うてもええ。無理にでも冤罪を作り出さなあかんかのような状況にあったと考えられる。

その典型的な事例が、サイトのQ&A『NO.1153 メルマガで小沢氏の妻の手紙について触れられていませんが、なぜですか?』(注3.巻末参考ページ参照)やったと思う。

相談者の質問の中に、


新聞や週刊誌に「小沢氏の妻の手紙」というものが報道され物議を醸しています。

その中に、小沢氏が「放射能が怖くて秘書と一緒に逃げ出しました」という記述があったことに驚きました。

週刊誌はともかく新聞が何の裏を取ることもなく、そのような報道をすることはないと思いますので、事実だろうと考えています。

もし、そうであるのなら、そういう人物が率いる政党を支持する気になれません。

メルマガには、それに関して一切触れられていませんが、どうしてなのでしょうか?


というのがあり、それに対して、


『メルマガには、それに関して一切触れられていませんが、どうしてなのでしょうか?』ということやが、ワシらもその週刊誌の記事や新聞記事を読んで知っている。

それらの記事を読んで調べた上、ワシらが下した結論は、それらは「怪文書」の域を出ていない、事実と証拠に基づいた報道ではないと判断して、取り上げるまでもないと考えたさかい、それについてはあえて何も触れなんだわけや。


と回答した。

その根拠として、その回答の中で、


現在、分かっている事実を列挙する。

1.「妻の手紙」と称されるものは本人が書いたものとは確定されていない。そもそも、その記事を書くにあたり、小沢氏と夫人本人に直接取材をした事実がない。

そのため、今以て、夫人がその手紙を出したと認めたというコメントはどこにもない。

週刊誌も新聞も、それについては一切触れていないから、取材していないのは間違いないものと思われる。

その『手書きで記された11枚の便箋の写し』とやらだけが一人歩きしている。

普通、新聞で記事にする場合は当事者への取材は当たり前になっているはずやが、なぜか、これに関しては小沢事務所に取材しただけで書いている。

しかも、小沢事務所では、はっきりと「手紙は本人の字ではない」と否定しているわけだから、その手紙の内容が正しいとして報道するなら、その手紙が正しいものであるという証拠を示す必要があるが、それがない。

逆に、「手紙は本人の字ではない」とする証拠ならネットに公開されている。

▼小沢一郎夫人の直筆文字を公開する
http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2012/06/post_6afb.html

これだけでも夫人の字ではないと分かりそうなものやが、もっと決定的に違うのは「夫人の署名」だとされている。

週刊誌では夫人の手紙の署名は「小澤」となっているが、本物の署名は常に「小沢」と書くのだという。その字体も本来の署名とはまったく違うものだと。

ワシは、この手紙自体、その内容から見て、夫人以外の第三者が書いた可能が高いものやないかと疑っている。

確かに小沢一郎氏の戸籍上の名前は「小澤一郎」になっているから、夫人も当然「小澤」と書くはずやという思い込み、憶測に基づいて書かれたものやないかと。

こんなことくらい、ご本人に確かめさえすれば絶対にしない間違いやが、如何せん取材していないがために、こんな初歩的なミスを冒してしまうのやと思う。

そして、このミスは致命的や。この一事で、その手紙は本人のものやないと証明しとるようなものやさかいな。

『妻の関係者は、筆跡が真正のものと証言している』と記事にはあるが、夫人の正規の署名すら知らない『妻の関係者』では、その存在自体疑われても仕方ないのやないかと思う。

本当にそんな人物がいるのかと。

もっとも、一部の新聞では『筆跡鑑定で夫人直筆と断定』したという記事が掲載されとるがな。

一見、その記事があると信憑性を増すかのようにと思えるが、『筆跡鑑定で夫人直筆と断定』というのが、警察の化学捜査、裁判所の鑑定でそれと認定されとるのならともかく、鑑定人次第では違う判断は無数にできるというから、それだけでは何とも言えん。

それに何より、そんな筆跡鑑定など持ち出さずとも、ご本人に「それは私が書いたものに間違いありません」と言わせれば終いやないのかと思う。

その類の記事がどこにもない。

なぜ、それができんのやろか、せんかったのやろうか? その答がすべてやという気がするがな。

2.『妻(67)が支援者に宛てた手紙の中で、小沢氏が「放射能が怖くて秘書と一緒に逃げ出しました」と指摘』とあるが、その事実はない。これは完全なる創作や。

夫人の手紙では小沢氏が3月25日に逃げたとあるが、その事実もない。

その日、小沢氏は都内の自宅、および国会周辺にいたことが大勢の人によって確認されている。

それに、小沢氏は当時、東京世田谷区に住んでいた。

『放射能が怖くて逃げた』というが、東京に住んでいる大半の人たちはそんな行動は取っていないし、当時、そんな発想すら湧かなかったやろうと思う。

東京にいた方が、まだ安心できると考えるのが普通や。それを『放射能が怖くて逃げた』とするには無理がありすぎる。

『内々の放射能の情報を得た』ために逃げたというのが事実であるとすれば、その『内々の放射能の情報』とやらは、よほど東京にいることが危険やという情報ということになる。

もし、そうなら、小沢氏と同じような行動を取った人間が他にも複数いなければ辻褄が合わない。

そういう情報を入手できる立場の人間、国会議員は他にも大勢いたと思われるからや。

その報道はどこにもない。

さらに実際には、小沢氏はその3日後の3月28日に岩手県盛岡市を訪れ、 県庁で達増拓也知事らと会談している。この事実は、当時、新聞各紙が報道している。

その新聞記事にも『小沢氏が初めて地元入りし、盛岡市の岩手県庁で達増拓也知事と会談したのは同28日だった』とあるさかい、間違いない。

そうであるなら、『夫人の手紙では小沢氏が3月25日に逃げたとある』というのは、事実とは大きく矛盾する。逃げ出すような人間が、その僅か3日後に被災地に行くはずがないさかいな。

事実は17日間、小沢氏が被災地に行ったという報道がなかったことや。

もっとも、その間、『小沢氏は側近議員の車を借りて、被災地を視察していますし、食事も洗濯も水道水を使っていたとのウラが取れました』という情報ならネット上にあるがな。

3月28日に盛岡市に行ったのが遅いのかどうか、となるとワシには何とも言えんし、その間の小沢氏の行動についての報道はないから確かなことは分からんが、少なくとも「逃げた」という事実がないことだけは確かやと言える。

その事実を知らん連中がネットの掲示板などで『被災地を小沢氏が初めて訪れたのは震災の10カ月後になって』と書き込み、それを鵜呑みにした者が、プログで広めるという愚を冒しとるから話はよけいややこしくなっとるようや。

ワシらには「書き込み」の裏も取らず、それを目にしただけですぐに文章にするという神経が信じられん。多くはコピペというから尚更、始末に悪い。

そんな程度のものは調べる気になりさえすれば、すぐに分かることやと思うのやがな。

3.『岩手や日本の為(ため)になる人間ではないとわかり離婚いたしました』とあるが、事実は数年前から不仲により小沢夫婦は別居中ということや。

今更、それを離婚理由にするのは違和感がありすぎる。

その別居中という理由については当人同士の問題でもあるから、どうでもええが、離婚すると言うのなら、普通は『数年前から不仲により別居中』を全面に出すもんや。

そのための不平不満を書くのなら、その事情を曝露するものと思う。もっとも、本当に夫の支援者にそんな手紙を書く夫人が存在しての話やがな。

その新聞の書き方やと、如何にもそれまで毎日一緒に生活を共にしていて、その一言で愛想をつかしたという風に受け取れる。

『数年前から不仲により別居中』という程度のことは小沢氏の関係者、後援会の人なら誰でも知っていることや。

ましてや小沢氏を叩くことに熱心な新聞社が、その事実を知らんわけがない。それにもかかわらず、その記事では小沢夫婦が不仲であるということには一切触れていない。

なぜか。それを書けば『一番苦しい時に見捨てて逃げ出した小沢を見て、岩手や日本の為(ため)になる人間ではないとわかり離婚いたしました』という言葉が説得力を失うからや。

それ以外には考えにくい。

百歩譲って、その手紙を夫人が書いたものやとしても、夫婦別居中の状況で『一番苦しい時に見捨てて逃げ出した小沢を見て、岩手や日本の為(ため)になる人間ではないとわかり離婚いたしました』と言える妻が存在するやろうかと思う。

普通の感覚の人間なら、別居中でありながら、それでも秘書に命じて『奥さんも息子さん達もどこか逃げる所を考えて下さい』と夫人や家族を心配して気遣う夫を悪く思うはずはないと考えるがな。

それに、本当に『一番苦しい時に見捨てて逃げ出した』ということに嫌悪していたと言うのなら、小沢氏本人、もしくはそれを伝えに来た秘書に、「そんな事は考えずに国民のために踏ん張ってください」と、その意を伝えたと、その手紙に書くのが自然やろうと思う。

それを言っても無視された、受け入れて貰えなかったとした方が説得力を増すさかいな。

それがないということも、この手紙が創作されたものやと疑うに十分やと思う。

また記事には『離婚いたしました』と書かれているが、小沢氏が離婚届に判を押して夫人に渡しているのは事実のようやが、肝心のその離婚届は役所には、その手紙を書いたとされる時期にも提出されていない。

未だにないという情報もある。これは役所で調べれば簡単に分かる事実やが、それすら確認していない。。

つまり、夫人はその気になりさえすれば何時でも離婚届を出せる状態にありながら、未だに、その離婚届を持ったままということになる。

『離婚いたしました』と書いた人間が、どうして役所に離婚届を提出していないのか。

それは手紙の内容が本人の意思とは違うという何よりの証やないやろうか。

この他にも週刊誌に書かれいることで事実とは違うことはいくらでもあるが、上記のことで、夫人の手紙の信憑性に大きな疑問があるというのが分かって頂けるやろうと思う。

そして、この夫人の手紙と称するものが、今になって曝露され、しかも消費税増税で反対するであろうと思われていた民主党の議員たちにタイミングよく配布されているのも事実や。

こういうのを昔から「怪文書」と呼んでいる。

消費税増税とは、まったく関係のない話で、小沢氏個人を貶める事でその意思を鈍らせる、削ごうというのは、あまりにも稚拙で前時代的な手法やと思うが、未だに、そんな戦法を採っている人間が存在していることに驚く。

いずれにせよ、小沢氏を貶め、消費税増税反対阻止に「夫人の手紙」とやらが利用されたのだけは間違いないと言える。それだけでも怪しいわな。

ワシらは、その事を調べていてすぐそれと分かった。

それ故、取り上げるまでもないと考え、メルマガでは、あえて何も触れなんだわけや。分かって貰えたやろうか。


と言うた。

何の確認、検証もせず、週刊誌の情報に飛びついて書いただけの記事が公平な報道やと言うのなら、残念やが大手新聞社、テレビメディアは終わっていると言うしかない。

しかし、それらの報道により実際に小沢氏の力は大きく削がれて、今尚、記者クラブ制度が存続しとるわけやから、今のところ、小沢叩きは大手新聞社、テレビメディア的には成功していると言える。

その結果、民主党政権の悪評という形で世間に拡がり、ついには国民から支持を失い政権を追われるに至っている。

そして、自公政権により、報道の自由が失われつつある世の中が誕生しようとしている。

この状況を、どうすれば改善できるのか?

答えは簡単、現、自公政権の広報と化した「記者クラブ」制度をなくせばええ。

そして、民主党政権時と同じく、現、自公政権の批判記事を、もっと積極的に掲載することや。

昔、民主党政権時以前の自民党政権下で行われていたのと同じ状況に戻すだけで、そうなるものと確信している。

ただ、何でもそうやが、一度動き出した流れは、そう簡単に変えることはできないのも確かやと思う。

少なくとも、現在の新聞、テレビメディアが、その愚に気づかん限りはな。



参考ページ

注1.第100回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の実像 その3  新聞業界、それぞれの使命とは
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-100.html

第118回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■民主党代表選挙報道のあり方について
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-118.html

第120回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■暴かれた「自白調書」のカラクリと検察への信用失墜について
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-120.html

第123回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■検察審査会制度の是非について
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-123.html

『第203回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞とは何か その1 報道の裏側に見え隠れするもの』
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-203.html

注2.第209回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の実像 その6 新聞第3のタブー、記者クラブ問題について』
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-209.html

注3.NO.1153 メルマガで小沢氏の妻の手紙について触れられていませんが、なぜですか?』
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage10-1153.html


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