メールマガジン・ゲンさんの新聞業界裏話・バックナンバー

第447回 ゲンさんの新聞業界裏話


発行日 2016.12.30


2016年、ゲンさんの新聞業界裏話10大ニュース


今日を入れて後2日で、今年も終わろうとしている。そして、当たり前やけど今年もいろんなことが起こった。

毎年、新聞やテレビでは「今年の10大ニュース」というのが報道されている。

それとは少し違うが、この1年間の間に当メルマガ誌上で取り上げた事案の中から興味深いと思われるものを、ワシらの独断と偏見により、「2016年、ゲンさんの新聞業界裏話10大ニュース」と銘打って選び出してみた。

尚、紙面の関係上、それぞれの項目では多少、端折(はしょ)った内容になっているが、そこは「こんなことがあった」と紹介するのが、今回の目的やさかい、ご理解願いたい。

もっとも、詳しく知りたいという方は、もう一度、それぞれのページを入念に見て欲しいと思う。

それでは始めさせて頂く。


2016年、ゲンさんの新聞業界裏話10大ニュース


1.第399回 ゲンさんの新聞業界裏話  発行日 2016. 1.29

■報道のあり方 その10 SMAP解散騒動記事の是非について
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-399.html


SMAP解散報道に驚かれた方も多いやろうと思う。当然のように、新聞や週刊誌、テレビ、ネット上などでは凄まじいまでの過熱報道が、日本中は言うに及ばず世界中を駆け巡った。

過去、芸能人やタレント、アイドルなどの人気グループが独立して解散するというのは数限りなくあったが、これほど騒がれたのは、おそらく今回が初めてやないかと思う。

SMAPが国民的アイドルで大スターなのは間違いない。メンバーそれぞれが一流の歌手であり、俳優であり、名司会者でもある。

およそ日本の芸能エンターテイメントに関するすべての分野でトップクラスであることに異論を挟む余地はない。誰もが認めるところや。

彼らに匹敵するグループは過去にはいないし、これからも出てくる可能性は少ないやろうと思う。

そのグループの解散、独立問題やから確かに大きなニュースやが、果たしてここまで騒ぎ立てるほどのことかとなると些か疑問に感じる。

あくまでもグループの解散、独立というのは個人的な問題で、各自それぞれの意志で決めるものやと思う。

SMAPが解散して残念に思うファンの方々の気持ちは分かるが、人生の岐路に立ち、どの道をどう進むかの選択を迫られる時は誰にでも訪れる。

ファンは、その選択を見守るだけでええのやないかな。いずれの道を選ぼうと尊重するという姿勢で。

ただ、この時は、SMAPのメンバーたちが自身の冠番組冒頭で謝罪会見をしたことで解散が回避される流れになり、一旦は騒ぎが収束するかに思われたが、結局は後に12月31日を以て、解散することが決まった。

今回の騒動で一般には知られていない芸能事務所の裏側が明るみに出てしまった。

特に芸能事務所の所属タレントに対する扱いは最悪で、SMAPのような大スターたちですら同じやったということが分かった。

まるで奴隷か、召使いのようやと。そこには人としての自由など何もないのやと。

それが端的に表れたのが、メンバー全員による冠番組内での謝罪会見やった。まるで、とんでもない不始末をしでかした罪人のごとく扱われていた。

とてもメンバーの意志が反映されているとは思えないものやった。無理矢理、あの場に引き出され言わされている感が強い。見ていて、あまり気持ちの良いもんやなかった。

所属事務所の評判を悪化させないために、やらせたことやとは思うが、これは完全に裏目に出たと言うしかない。

先にも言うたように、独立するかしないかは、あくまで個人の意志、判断で決めればええことや。その結果がどうなろうと謝罪せなあかんような事とは違う。

世間を騒がせたという意味なら、事務所のトップ自身が謝罪せなあかんかったと考えるがな。実際、一般の企業であれば社長や役員たちが机を並べて謝罪しているさかいな。

それが抜けて落ちているのは普通の感覚では理解できんことや。

独立することが事務所に対する重大な裏切り行為であるかのごとき扱われ、その仕打ちとして謝罪会見をさせたように見えて仕方ない。罰として晒し者になって来いと。

ファンからすれば、とうてい受け入れることのできんことやったと思う。

それが、ネット上で事務所の副社長らに向けた強烈なバッシング、批判となって表れている。

今までは、そのやり方でも良かったかも知れん。芸能事務所の実態が一般には良う分からんかったさかい、大した問題にならずに済んだ。

しかし、SMAPのメンバーに対しても過去のタレントと一緒に扱ったのは失敗やった。

所詮、単なるタレントやと思うとったのやろうが、彼らの存在は、そんな生やさしいレベルのものやないということに芸能事務所は気づいてなかったようや。

どの世界のどの組織のトップにも言えることやが、愚かな指導者は自身が絶対的な存在やと勘違いして何でも思いどおりになると考える傾向にある。

それが大きな間違いやとは知らずに。

おそらく、この問題は来年になっても尾を引くやろうが、SMAPのメンバーに対してヘタな扱いをすると芸能事務所の存亡に関わってくるほどの大きな問題になると思う。


2.第404回 ゲンさんの新聞業界裏話 発行日 2016. 3. 4

■元大物プロ野球選手に見る覚醒剤使用問題……新聞業界は大丈夫か?
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-404.html


プロ野球チームG軍の看板選手だったK氏が違法薬物所持使用の疑いで逮捕さたニュースも衝撃的な事件として大きく報道された。

正直言うて、このニュースには本当に驚かされた。特にK氏を子供の頃から知っていて、ファンでもあったワシにとっては尚更やった。何でこんなことになったんやと。

裁判では懲役2年6ヶ月、執行猶予4年の有罪判決が確定した。

事件後、7ヶ月経ったK氏は、当然のように薬物治療中で「二度と手を出さないとは言えない。言い切れるのは自分が死ぬ時」、「薬物は本当に恐ろしい化け物で、怪物で、悪魔」と言っている。

それが現在のK氏の正直な思いなのやろう。

覚醒剤は一度でも手を出せば依存性の高さ故、自身の意志で止めるのは、ほぼ不可能と言われている。それくらい難しいことやと。

事実、K氏の年齢以上の再犯率は83.1%というデータもあるしな。

自業自得と言うてしまえば、それまでやけど、覚醒剤に手を出していたという事実は有名人であればあるほど生涯消えることはない。一生ついて回る。それにより世間から白い目で見られ続けるわけや。

ただ、可能性はゼロやない。例え少ない確率であっても、今後、K氏が心底反省し、社会のために尽くす気概を持って克服する努力を示せ続けられるのなら、あるいは世間の見方も変わるかも知れん。

そうなれば道も切り拓かれるやろうが、その間に一度でも覚醒剤に手を出ば、そこですべてが終わる。次に、いくら反省して二度とやらんと言うても誰も聞く耳を持たんさかいな。

多くの人に見放される。そんな程度の人間やったのかと。

K氏を子供の頃から知っているファンの一人からすれば、前者であって欲しいと願うが、こればかりは本人次第やと言うしかない。

ちなみに、この事件をキッカケに業界関係者の方から寄せて頂いた情報をもとにした、

▼『第406回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■拡張の群像 その17 覚醒剤に蝕まれた、ある拡張員の話』
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-406.html

という話もあるので、そちらの方も併せて見て頂けたら、覚醒剤使用の危険性が、より詳しく分かると思う。

覚醒剤使用の再犯率が高いというのを承知の上で、敢えて言うが、ファンの一人として、K氏を信じたいと思う。

人は、どんな困難に遭遇しても意志の力で必ず克服できることを多くの人たちに証明して頂きたいと。人はクスリなどに負けない。負けてはならないと。


3.第411回 ゲンさんの新聞業界裏話 発行日 2016.4.22

■熊本地震で見えてきた問題点 その1 多発型連続地震化について
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-411.html


2016年4月14日午後9時26分頃、熊本県熊本地方を震源とする、マグニチュード6.5、最大震度7の大地震が発生した。

さらに、その28時間後の4月16日午前1時25分頃には、同じく熊本県熊本地方を震源とする、マグニチュード7.3、最大震度7の大地震が発生した。

これまでの常識では1度目の大地震が発生した後は、それよりも小さい余震が続くものと考えられていたが、今回のケースは2度目の方が規模的には大きいということで、便宜的に4月14日午後9時26分頃の地震を前震、4月16日午前1時25分頃の地震を本震と呼ぶことにしたという。

もちろん、こんなことは前例のないことや。少なくとも日本で地震計による地震観測が始まった1872年以降、始めてのことやという。

今回の熊本地震を含めて、過去のメルマガ誌上で、スマトラ沖地震や中越地震、そして東日本大震災を経験された読者の方から送って頂いた無数の情報を掲載しているので、今後も続くであろう大地震の被害を少しでも回避するためにも役立てて頂きたいと思う。

続編として、

第412回 ゲンさんの新聞業界裏話 発行日 2016. 4.29

■熊本地震で見えてきた問題点 その2 止めない原発の危険について
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-412.html

というのもあるので、参考までに。


4.第413回 ゲンさんの新聞業界裏話 発行日 2016. 5. 6

■公正取引委員会の「押し紙」注意問題について
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-413.html


一般紙と呼ばれる新聞のほぼすべてで「押し紙」行為が行われていることは疑いのない事実や。少なくとも現場で働く業界関係者の大半は「押し紙」の存在を知っている。

しかし、それを暴くのは相当に難しく不可能に近い。

それについては、2012年1月20日発行のメルマガ、

▼第189回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■「押し紙」行為を暴くことは果たして可能なのか?』
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-189.html

の中でも詳しく説明したが、たった一軒の新聞販売店の「押し紙」行為を見抜くことさえ難しい、というより不可能なのが実状や。

もっと言えば、そもそも、どの部数が「押し紙」なのか特定できないという根本的な問題がある。

新聞社の印刷工場から新聞販売店への納入部数と、実際に配達している部数の差が「押し紙」やと主張する人がいるが、それは違う。

それで判明するのは、単にその販売店には配達されない余剰紙が存在するという事実にすぎない。

その余剰紙の中には「押し紙」を含め、様々な形態の「配達されない新聞」が存在する。

「積み紙」と言われるものもその一つや。

これは、新聞社から部数を押しつけられる「押し紙」とは逆で、販売店自らの意志で余分な新聞を買う行為のことを言う。多くの場合、新聞社には内緒で行われている。

これが新聞社が言うところの「虚偽報告」、「過剰納入」に相当する。

また余剰紙には、「予備紙」というものもある。

新聞販売店に限らず、予備の商品を備えておくというのは、どんな業界にも普通にあることや。また、それがないと困ることも多い。

新聞配達時の雨風の強い日には、突風やスリップなどによりバイクが転倒して事故を起こすことがある。

そうなると、風のため飛散したり、転倒した場所が水浸しになっていて濡れたりすると、多くの新聞がダメになるという事態になる。

また、配達人の不注意による不配や誤配などの未配達新聞をカバーするためにも予備の新聞が必要になる。

いかなる事情があれ「品切れ」を理由に新聞の配達をせんわけにはいかんさかいな。そう考える販売店が圧倒的に多い。

常に万が一を考慮する販売店では、必然的に予備紙も多くなるという理屈や。

「試読紙サービス」というのもある。

これは購読して貰えそうな客に対して1週間を限度として無料で新聞を配達するというサービスや。その名のとおり、試しに読んで貰うというものやな。

これに関しては、新聞社を含めて公正取引委員会などの監督機関からも公に認められとるものや。

営業に熱心な販売店ほど、それが多くなる傾向にある。

しかも、「試読紙サービス」に関しては、その数量の規定はない。新聞販売店それそれの裁量で決めることができる。

極端な事を言えば、取り扱い部数の2、3割が「試読紙サービス」分の新聞やと言うても通るわけや。

もっとも、そこまでしている販売店はないとは思うがな。ただ、理屈上は、そう説明することも可能になるということや。

これは「押し紙」でもなければ「積み紙」でもない。

当然のことやが、「試読紙サービス」分として仕入れた新聞が余れば余剰紙ということになるだけやさかいな。

さらに新聞の購読契約時、「無代紙」というて無料サービスを中心に勧誘している販売店もあり、その分、余剰紙が多くなる傾向にある。

もっと言えば、販売店の多くは、契約当月が半月以下の場合、当月分の新聞代を無料サービスにしているケースがあるから、予備的な新聞が、その分必要になる。

それら数多くの余剰紙の中から、外部の調査で「押し紙」のみの部数を特定するのは、どんなに優秀な捜査機関を持ってしても不可能やと考える。

公正取引委員会が注意に止めたということは、「押し紙」があったと断定するだけの根拠と証拠がなかった何よりの証やと思う。

とはいえ、こういう発表をされたこと自体、新聞業界としては大きな出来事やさかい、今までのようには新聞社も「押し紙」が、し辛くなるかも知れんがな。


5.第417回 ゲンさんの新聞業界裏話 発行日 2016. 6. 3

■報道の危機……その6 書籍『日本会議の研究』への出版停止問題について
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-417.html


これは、あからさまな「言論弾圧」やと言える。その報道記事には、


http://www.sankei.com/life/news/160510/lif1605100024-n1.html より引用

日本会議が出版停止求める 扶桑社刊行の新書


 保守系団体の日本会議が、新書「日本会議の研究」の出版を停止するよう求める文書を、刊行元の扶桑社(東京都)に送っていたことが10日、分かった。関係者によると、日本会議は本の内容が事実に反すると主張している。

 日本会議などによると、文書は4月28日にファクスで送付。差出人は日本会議の椛島有三事務総長で、扶桑社の社長宛てだった。文書の内容について、扶桑社は「コメントできない」、日本会議は「詳細は扶桑社の回答を待ってから明らかにしたい」としている。

 著者で著述家の菅野完さんは「私は文献や聞き取りで調べた事実を書いた」と話している。

「日本会議の研究」は、特定の宗教団体と日本会議の関係を探る内容で、安倍晋三政権による改憲に向けた動きを批判している。

 インターネット上での連載を基に4月下旬に出版した。発行部数は初版が8千部で、扶桑社は発売前に3千部の増刷を決定。各書店でベストセラーランキングの上位に入っている。


とある。

このメルマガ誌上で『報道の危機』や『自民党憲法改正案の是非』、『報道のあり方』といったシリーズなどで自民党与党、および政府の姿勢についていろいろと言及してきた。

当初、それは自民党政府の一部の権力者による横暴のように考えていて、その都度、批判的な論調を展開していたが、今回日本会議が出版停止求めた『日本会議の研究』を読むにつれ、もっと根の深い思惑と理由があったと知った。

そして、現在の自民党政府与党の望む政治が、どんなものかということもはっきり見えてきた。

正直言うて、ワシもハカセも、この書籍の存在はむろんのこと、Webメディア「草の根保守の蠢動」についても、まったく知らんかった。

それを『「日本会議」が行った書籍『日本会議の研究』への出版停止要求』の報道で知った。

『日本会議の研究』の内容は、当メルマガ『報道の危機』シリーズでワシらが言うてきたようなことが見事に裏付けられていた。

『日本会議』については、他にもまだまだ、いろいろありそうやから、これから調べて、また話したいと思う。

ただ今回、書籍『日本会議の研究』を読んだことで分かったのは、現在、日本は一部の狂信者たちに牛耳られようとしていることや。

それも日本を戦争に導く危険な国にしようとしていると。しかも、それには現政府与党の中枢にいる日本会議のメンバーたちが大きく関わっていると。

それが分かっただけでも大きな収穫やったと思う。


6.第422回 ゲンさんの新聞業界裏話 発行日 2016. 7. 8

■新聞各紙より「週刊文春」の方がスクープを連発している理由とは?
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-422.html


かつて、スクープ(特ダネ)記事というのは新聞の十八番(おはこ)とされていた。

新聞各紙の記者たちが、スクープ(特ダネ)記事の掲載に日夜鎬を削っていた時代があった。

最近の新聞紙面から、そのスクープ(特ダネ)記事が極端に減ってきているように感じて仕方がない。

新聞各紙に昔ほどの競争意識が失われているように思える。表現や扱いは違えど紙面に載っている記事には殆ど変わりがないしな。

横並びと言えば語弊があるかも知れんが、そんな感じや。

それに比べ、週刊誌、取り分け「週刊文春」のスクープ(特ダネ)記事に目を惹くものが多くなったように思われる。

今や、「週刊文春」と言えば、スクープ(特ダネ)記事の代名詞という感すらあるさかいな。

今年の2016年だけでも、1月14日号『ベッキーがゲスの極み乙女のボーカル川谷絵音と不倫』、

1月21日号『甘利明経済再生担当大臣サイドが、2013年から2015年にかけて独立行政法人都市再生機構の入札に関わる千葉県白井市の建設会社Sから、口利きの見返りとして現金などを受け取っていた』、

2月18日号『自民党衆議院議員宮崎謙介が、妻で自民党衆議院議員の金子恵美が出産のために入院している間、京都市の自宅マンションに女性タレントを招き入れ宿泊した』、

3月8日号『読売ジャイアンツ所属選手による野球賭博問題で、先に処分された3人の他に“第四の選手が参加していた”として高木京介の名を挙げた』、3月15日号『フジ“新ニュースの顔”ショーンKに学歴詐称疑惑』、

5月5日・12日ゴールデンウィーク特大号では『東京都知事舛添要一が、毎週末に神奈川県足柄下郡湯河原町にある別荘へ「公用車で通っていたこと」』といったスクープ(特ダネ)記事を連発している。

「週刊文春」に掲載された影響は大きく、ベッキーは自身の出演するテレビCM、テレビ番組を全て降板させられ休業に追い込まれた。

甘利明氏は疑惑の責任を取り、経済再生担当大臣を辞任している。宮崎謙介氏は自民党を離党し、衆議院議員を辞職した。

高木京介投手は1年間の失格、巨人に制裁金500万円の処分が決定し、ショーンK氏は芸能活動を自粛。舛添要一東京都知事も辞任に追い込まれた。

今後も「週刊文春」によるスクープ(特ダネ)は続いていくやろう。それに対して新聞でのスクープ(特ダネ)記事は減っていく一方やと思う。

この事が意味するのは何か。それは新聞の凋落に他ならないということや。

理由は、いろいろあるが「経費節減」と「記者クラブ」の存在が新聞自身の首を絞めている最たる元凶やと考える。

企業は収益が上がらんようになると、まず「経費節減」に走りがちやが、そんなことをしている企業や職種は、間違いなく衰退している。

良くて延命できるくらいのことで、いつかは滅びる時がくる。時間の問題や。

「経費節減」は、記事を作るための情報収集に金をかけないという形で、すでに表れとる。

新聞の場合、情報収集の大半は「記者クラブ」が担っている。

そうすることで、取材経費をかけずに済むやろうが、それは、お上から与えられた、俗に言う「大本営発表」を垂れ流しているだけにすぎない。

そうなると、最早、新聞ではない。政府、権力側の広報と何ら変わらない。

対して、文春は『文春に情報を寄せると、総じて他誌より高額な情報提供料を支払っている』という現実がある。

取材経費を贅沢に使うからこそ、数多くの情報が入るのやと言える。その情報を掲載することで売れて潤い、さらに情報が多く集まるという好循環になっているわけや。

現在、新聞は大きな岐路に立たされている。今のこの状況を変えない限り、未来はないと言えるところまで追い詰められている。

その事を、どれだけの新聞関係者、業界人が自覚しているやろうか、分かっているのやろうと思う。


7.第428回 ゲンさんの新聞業界裏話 発行日  2016. 8.19

■報道の危機……その7 失われつつある報道の自由について
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-428.html


近年になって、日本の報道には自由がなくなりつつあると言われている。

国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)が毎年発表している「報道の自由度ランキング」によると、日本は10年には11位だったが、年々順位を下げ、14年59位、15年は61位、そして今年の16年は、さらに72位まで順位を下げている。

その理由は、一言で言えば、日本の政治が変わったからやと思う。

2010年時の政権与党は民主党やった。何かと批判の多かった民主党政権やったが、事、報道の自由度という点では今より格段に良かった時代やったと言える。

何せ、その当時の「報道の自由度ランキング」は11位やったんやさかいな。それが今では72位やという。話しにならんほどの低さや。

これは、2012年12月の総選挙で第2次安倍内閣が発足してから急速に変わっている。

『14年59位、15年61位、16年72位』というのは、現在、世界の中で日本の報道に自由がないかということを如実に証明している端的な数字や。

これについては現、安倍内閣及び与党が圧倒的多数の議席を背景に、独裁的とも言える政権運営を行ってきたことが、その理由として大きいと思う。

いつの時代にも言えることやが、そうした奢りがいずれ身を滅ぼすことに間違いなくつながる。まさに『驕る平家は久しからず』を地でいっているようなものやさかいな。

本来なら、これは由々しき一大事やが、多くの国民には、まだその深刻さが伝わっていない。

それぞれの事案においては報道機関も一応の批判はしている。しかし、「報道の自由度ランキング」の現状を報道している新聞、テレビ局は殆どない。

それがなければ事の深刻さは伝わらない。それについては蓋をしてしまっている。

どうして、いつから日本の新聞やテレビメディアは、そんな状態になったのか?

表面的には、現自民党を中心とする与党が圧倒的多数の議席を確保した2013年以降ということになっている。

当然やが、報道の自由がなくなれば新聞の存在意義そのものが損なわれる。

新聞の存在意義が失われるということは、そのまま新聞の不要論に発展し、購読者数の減退に繋がる。

ここ数年の急激な部数減の進行には、少なからず、その事が影響しているのは、ほぼ間違いないと思う。

事は深刻かつ緊急を要する事態やと言える。このまま手を拱(こまね)いていれば確実に今後も新聞は凋落の一途を辿り、いずれ衰退、消滅の危機に陥るものと推測される。

業界の端くれで飯を食っている者としては、それだけは何としても避けて欲しいと思うが、残念ながら、ワシらにできることは少ない。

せいぜい、ここで警告を発することくらいや。それでも何もせんよりマシやとは思うとるがな。


8.第430回 ゲンさんの新聞業界裏話 発行日 2016. 9. 2

■小池百合子新東京都知事の評価について教えてください
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-430-2.html


周知のように、都知事選挙で小池百合子が圧勝し、新東京都知事になった。

それには、小池百合子氏の選挙戦略がインパクトが強く巧みやったからやと考えている。

自民党員でありながら、自民党および自民党東京都議連と真っ向から対立し、都知事に立候補するという思い切ったことをした。

「パラシュート無しで崖から飛び降りる」、「都議会の冒頭解散をする」とセンセーショナルな発言で、自民党および自民党東京都議連に喧嘩を吹っかけるような形になったことが多くの有権者の関心を買い、支持を受けた。

結果、291万票余りの得票で、2位の自公が推薦する増田寛也氏に約112万票もの大差で、ぶっちきりの当選を果たしている。

現在、小池百合子東京都知事は、「築地市場の豊洲移転」問題に関連して「盛り土をしていなかった」、「誰も知らなかった地下空間の出現」など数々の闇を暴き出し、オリンピック関連の経費節減にも多大な貢献をしているものと思う。

現時点で評価するのなら、ほぼ満点やないかと考える。また期待感についても申し分ないと言える。

もっとも、最終的な評価は、今後次第やとは思うがな。


9.第440回 ゲンさんの新聞業界裏話 発行日  2016.11.11

■トランプ米国大統領誕生による日本の新聞業界への影響は?
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-440.html


10月9日、大方の予想を覆し、トランプ氏がアメリカ大統領選挙に勝利した。

アメリカの新聞やテレビなどのメディアの大半が、クリントン氏の勝利を予想していた。それは日本も同じやった。

その衝撃は、今年の6月23日に行われたイギリスの国民投票によってEU離脱が決まった時以上やった。

まさか、そんなことが起きるとは……。それが正直な気持ちや。予想外のことが起きたと。

トランプ氏については新聞やテレビなどで散々報じられているのを見るくらいで、それ以上の事は読者の方々と一緒で、それほど詳しくは知らん。

ワシのトランプ氏に対する印象やが、ワンマン経営者に多い性癖の持ち主やないかという気がする。

自分に味方する人間に対しては面倒見が良く、敵対する人間には敵意を剥き出しにするタイプやないかと。

いずれにしろ、なってしもうたものは仕方ないと思う。

まあ、敢えて言えば、結構、面白いのやないかなというのが感想やな。ひょっとすると、希代の名大統領になるかも知れん。もちろん、その逆も大いにあり得るがな。

まずはお手並み拝見といったところかな。

『トランプ米国大統領誕生による日本の新聞業界への影響は、どの程度あると考えられますか?』という点については、景気もさほど悪化する動きもないようやから、実質的な影響は、あまりないやろうが、それでもトランプ氏を新聞紙上で否定ばかりしてきたツケは、いくらかあるかも知れん。

それは、日本の新聞メディアの分析力、先見の明のなさを露呈した結果でもあるさかいな。新聞の信用が落ちれば、ある程度の影響が出るのは間違いないと思う。

『世界はこれからどうなるのでしょう?』と訊かれても困る。

これに答えるとしたら「なるようにしか、ならんわな」と言うしかない。すべては今後次第ということになる。

吉と出る凶と出るか。神のみぞ知るということやな。できれば吉であって欲しいと願うが……。


10.第443回 ゲンさんの新聞業界裏話 発行日 2016.12. 2 

■ある読者との邂逅録 その1 12年前の出会い
http://melma.com/backnumber_174785_6456196/


先日、私(ハカセ)のもとにサイト、及びメルマガを開始した直後から懇意にして頂いていたジュン(H.N)氏という方が病気のため亡くなられたという一報が、氏の奧様より届けられました。

個人的な事を言わせて頂ければ、私どもにとって、これが今年一番の衝撃的な悲しい出来事でした。

ジュン氏とは現在に至るまで12年以上の長きに渡り、延べ千通にも及ぶメー
ルを交換させて頂いた間柄でした。

それにしても人生は分からないものだと熟(つくづく)思い知らされました。

本来でしたら、私の方が、とっくの昔に死んでいても良いはずなのに、未だに生き残り、如何にも頑強で健康そうだった、まだ若いジュン氏の方が先に逝ってしまわれるんですからね。

この回ではジュン氏とのエピソードを幾つか紹介しましたが、折を見て、また別の機会にでも話したいと考え、シリーズ化することにしました。

ジュン氏を忘れないためにというのもありますが、それ以上に、ジュン氏とのエピソードを紹介することで、多くの読者のためになると考えたからです。

それくらいジュン氏の存在は大きなものだったと私は思っています。


以上、駆け足で紹介させて貰うたが、このメルマガで話した出来事以外にも今年は大きなニュースが数多くあった年やったと思う。

今年騒がれた大きな事案だけざっと挙げても、「ポケモンGOの世界的流行」、「PPAPが世界で爆発的に広まる」、「マイナンバー制度開始」、「プロ野球選手の野球賭博問題」、「イギリスのEU離脱国民投票」、

「イチローが日米通算4,257本安打達成、世界一」、「天皇陛下の生前退位報道」、「障害者19人殺害事件」、「リオ五輪日本は過去最多となる41個のメダルを獲得」、「韓国パク・クネ大統領の辞任騒動」、「博多陥没事故」などいろいろあった。

当たり前やが、毎年、様々な事件や出来事が起きる。

このメルマガでは、その中から、新聞業界に関連した事案、あるいは読者からの要望にお応えして話すことにしている。

それは、今後も変わることなく続けるつもりやさかい、よろしくお願いしたいと思う。

それでは、それぞれの方にとって来年は良い年でありますように。


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